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出来立て!今日の一首

〜令和三年四月分 の 新いろは歌 中村菜花群〜

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令和3年4月30日(金)

        時 短 営 業


 空茜なす 路地に立つ

 酔ふほど飲まぬ 我淋し

 夜や 黄金週間も

 店は終へけり 夢消えむ


       そらあかねなす ろちにたつ
       ゑふほとのまぬ われさひし
       よやこおるてん うゐいくも
       みせはをへけり ゆめきえむ


 この歌の創作動機は二つあります。
 まずは、昨日の夕焼けです(上の画像)。雨上がりの空の彼方が横一線に晴れ、雲のカーテンの裾が真っ赤に燃えていたのを見、こりゃあ詠まねばと思いました。
 もう一つは、黄金週間です。「ゴオルデンウヰイク」の語を詠み込みたいと考えました。外来語「ウィーク」の「ウィ」の発音は、ワヰウヱヲの「ヰ」の音に近いため「ウヰイク」の仮名表記は適切だろうと思ったのです(「ウィスキー」を「ウヰスキー」と書く例もありますね)。
 それらをひっくるめて一首にまとめてみました。
 しかし折角ののゴールデンウィークも、今は緊急事態宣言下にあり、世は閉塞感に覆われています。誠に遺憾です。
 この新いろは歌も「我淋し」「夢消えむ」結果となってしまいました。早く何とかしたいですね!!



令和3年4月29日(木)

        朱 鮮 晩 酌


 空茜燃え 家でぜひ

 好ける麦酒 飲むべきや

 明太子など おつまみに

 ほろり酔ふ我 小夜を居ぬ


       そらあかねもえ うちてせひ
       すけるはくしゆ のむへきや
       めんたいこなと おつまみに
       ほろりゑふわれ さよをゐぬ


 二日続けて雨模様です。天気の愚痴(四月十六日の項参照)を言わないよう、「潤いの雨、潤いの雨……」と唱えることにしました。
 そんな時、なぜか頭に浮かんで来たのが「明太子」です! あれを肴に「麦酒」をクーッと飲みたいなぁ、と。
 昨日はそんなことを考えながら、雨合羽を着て自転車通勤です。
 晩酌のおつまみの鮮やかな朱色を想い浮かべ、ささやかな幸福感に浸ります。体は濡れても心はほっと和み、朝の慌ただしさをしばし忘れました。明太子よ、どうもありがとう!
 スーパーで買ったのがあったんですよ! 魚売り場の「よりどり3パック1,000円」というやつが!
 釜揚げしらすも買いました。やっぱり美味しいですね! 紅白織り交ぜ大満足の、我が寛ぎの時間です。



令和3年4月28日(水)

        炎 昼 夢 想


 モノレエル見ゆ 青空へ

 白い積雲 好げに湧く

 大阪恋ひぬ また笑めり

 蝶翅閉ぢゐ 休む夏


       ものれえるみゆ あをそらへ
       しろいせきうん よけにわく
       おほさかこひぬ またゑめり
       てふはねとちゐ やすむなつ


 ふと、二年前の夏を思い出しました。
 令和元年九月十日(当日の項参照)。厳密に言えば秋≠ナすが、残暑厳しい炎天下、気分はほとんど真夏≠ナした。
 石切サイクリングの帰り道。大阪モノレールに沿った道路。青空に入道雲の湧く風景が、この胸にありありと蘇って来ます。
 まぶしい陽射しが心の襞にも沁み入るような、熱気にうっとりと酔うような感覚、久しぶりです。
 ジリジリと鼓膜に応える蝉時雨が懐かしくなりました。
 今年の夏、もう一度行きたいですねぇ! 心地好い疲労感に浸る道を! 

 
 



令和3年4月27日(火)

        甜 瓜 氷 乳


 我を招ける お店居て

 華やぎ盛りぬ 愉悦笑む

 メロンソフトよ 更に恋ひ

 北海道の 味すべし


       われをまねける おみせゐて
       はなやきもりぬ ゆえつゑむ
       めろんそふとよ さらにこひ
       ほくかいたうの あちすへし


 ミニストップのイートインスペースで食べた「北海道らいでんメロンソフト」(税込270円) を詠みました。非常に爽やかな味わいでとても美味しかったので、三日前から歌に詠もうと考えていたのです。
 ミニストップのホームページから得た情報によると、メロンは五%配合で、

《らいでんメロンの名は、北海道積丹半島の西側の付け根に位置する「雷電海岸」からつけられたもの。
 積丹半島を背に、羊蹄山やニセコ連峰に抱かれた日当たりのよい畑で育てられています。
 果皮が薄く、肉厚で糖度の高いジューシーな味わいが特徴です。》

 とのことでした。
 ガラス越しに春の日差しを浴びながら、明るい外をぼんやり眺め、妻と子と三人でしばし上品な甘さに浸りました。



令和3年4月26日(月)

        熱 帯 果 実


 パイナツプルを 我食べゐ

 胸にも甘う 得し幸よ

 鳳笑みぬ 夢広げ

 天国の風 安らぎぞ


       はいなつふるを われたへゐ
       むねにもあまう えしさちよ
       おほとりゑみぬ ゆめひろけ
       てんこくのかせ やすらきそ


「うわぁぁぁん、酸っぱいから嫌だ!」
 食後のデザートに妻が出してくれたパイナップルを見て、うちの子が叫びました。
「安物は酸っぱいけど、これは酸っぱくないから、食べてみぃ!」
 妻はなんとか食べさせようとするのに、子供は「酸っぱいぃぃぃ! 嫌だ!」を繰り返します。へぇ〜、好きじゃないんだなぁと意外に感じながら、なんだか私の口の中にも唾が湧いて来ました。それ以後、梅干しよりも、レモンよりも、パイナップルを想うだけで条件反射が起きやすくなったのです。不思議ですね。
 歌に詠む時も、唾が湧いてしかたありませんでした(苦笑)。
 後半部分に「鳳」が登場するのは、パイナップルの漢字表記「鳳梨」からのイメージです。なんとなく手塚治虫の漫画『火の鳥』を思い浮かべつつ、心の中には石川優子の歌「フラミンゴ」が流れ、口中には唾液を湧かせるという面白い創作体験でした(笑)。



 2021年4月 1日〜5日 6日〜10日 11日〜15日 16日〜20日 21日〜25日 26日 27日 28日 29日 30日

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