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出来立て!今日の一首

〜令和五年六月分 の 新いろは歌 中村菜花群〜

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令和5年6月30日(金)

        屋 上 乾 杯


 塩粒散りゐ 枝豆や

 麦酒などをも 歓ばん

 泡揺れグラス そのお手に

 胸へ風受け 笑み咲きぬ


       しほつふちりゐ えたまめや
       ひいるなとをも よろこはん
       あわゆれくらす そのおてに
       むねへかせうけ ゑみさきぬ


 スーパーでサントリー「金麦」の六缶セットを買いました。
 その紙パッケージにあったデザインの枝豆(上の画像)がとても美味しそうだったので、一首詠むことにしました。
 鮮やかな緑色の莢に粗塩の粒が散り、グラスに注がれたビールと並んで晩酌への期待を一層高めてくれます!
 あぁ、定義で言うと「金麦」は【ビール】ではなくて【第三のビール】になるそうですね。でもそんな七面倒な話はどうでもいいんです。【ビール】であろうと【発泡酒】であろうと、はたまた【第三のビール】であろうと、ともかくよく冷えていて泡まで美味しくて、暑〜い日に喉の渇きを潤してくれて、程好く酔わせてくれれば充分でしょう!(笑)
 な〜んてことを書いてると、ありゃ〜、また飲みたくなってきた!(大笑)
絵に描いた餅≠ネらぬ絵に描いた枝豆≠肴に、もう一本飲りますかァ!!
 ちなみに、実際のおつまみは絵ではない本物の、長芋のスライスぽん酢掛けでした(←蛇足的追加情報)。



令和5年6月29日(木)

        不 快 指 数


 蒸す熱帯夜 風あらぬ

 そこに身を伸ぶ 弱るなり

 気持ちは蕩け 酔ひ覚え

 苦さへ生まれし 夢で居ん


       むすねつたいや かせあらぬ
       そこにみをのふ よわるなり
       きもちはとろけ ゑひおほえ
       くさへうまれし ゆめてゐん


 夜の寝苦しさを詠みました。まだ六月だというのに、天気予報では熱帯夜になるとか言っていたもので……。
 いくら蒸し暑くても、私は睡眠中にはクーラーを入れない主義です。冷えすぎると良くないし、タイマーで切れるようにしても、切れた後の締め切った部屋が朝までには蒸し風呂状態になるからです。眠ってしまうと窓を開けることも出来ませんからね。
 汗だくで夜中にふと目覚めた時の、気持ち悪さといったら……!
 それでいつも寝る前には窓を網戸にした上で、扇風機で対応しています。すなわち、ファン(=扇風機)のファン(=愛好者)です、ファンタスティック!(笑)。



令和5年6月28日(水)

        遠 乗 願 望


 淀 寝屋 恩智 川も過ぐ

 今日石切へ 我参る

 蝉ら揃うて 声冴えむ

 青田匂ひぬ 夏の夢


       よとねやおんち かはもすく
       けふいしきりへ われまゐる
       せみらそろうて こゑさえむ
       あをたにほひぬ なつのゆめ


 また東大阪の石切神社へお参りに行きたい、という強い願望が、私に今日の一首を詠ませました。
 サイクリングを兼ねて片道約三時間。淀川を越え、寝屋川や恩智川に沿って中石切町へ至るコースが思い出されます。
 昨年から今年にかけては何かと雑用が多く、自転車でのんびり遠乗りする暇がありませんでした。
 七月に入ったら、ぜひ機会を作って出掛けるつもりです。その頃には梅雨も明けるでしょうか。きっと蝉も鳴いているでしょう……!
 さて、夏の夢を抱きながら、為すべき事を一つずつ成し、地道に前へ進むとします。



令和5年6月27日(火)

        明 日 夷 顔


 今夕焼けの 鱗雲

 茜染められ 鯛に見え

 幸を呼べり 座る岸

 お花咲んでゐぬ ほつとせむ


       いまゆふやけの うろこくも
       あかねそめられ たひにみえ
       さちをよへり すわるきし
       おはなゑんてゐぬ ほつとせむ


 帰宅途中、ふと空を見上げたら鱗雲がとても綺麗でした。
 そこへ夕日が当たって、鱗模様がほんのり紅くなっています。あぁ、これはおめでたい鯛≠セなぁ、そう思いました。
 口語文法の参考書に出ていた、品詞識別の例文を思い出します。

   めで【@たい】【Aたい】を【Bたい】て食べ【Cたい】。

 え〜っと、@は形容詞「めでたい」の一部(連体形)。Aは名詞の「鯛」。Bは動詞「炊く」の連用形(イ音便)。Cは願望の助動詞「たい」の終止形。
 ……と、そんなことを考えながらも、頭の片隅ではすでに新いろは歌創作のための下準備が始まっていました。



令和5年6月26日(月)

        尼 崎 象 徴


 汚染に強き 美と夢あり

 夾竹桃の 花優し

 我胸燃え 街路前

 大空梢 見て居ぬる


       をせんにつよき ひとゆめあり
       けふちくたうの はなやさし
       われむねもえ かいろまへ
       おほそらこすゑ みてゐぬる


 雨がぽつぽつ降る中、夾竹桃の花に見惚れていました。
 尼崎市の市花です。有毒な植物で、青春ベスト文庫『花[FLOWER] 面白すぎる雑学知識 なぜ母の日にはカーネーションか?!』(博学こだわり倶楽部 編) には、

《西郷隆盛で有名な西南戦争では、官軍側の兵士がキョウチクトウの茎を箸に用いてしまい、中毒にかかって苦労したという。
 海外では、フランスの軍隊がスペイン・マドリードへ進軍した際、焼いた肉を食べるのにやはりこの茎を使ってしまった。
 そのため、一一人の兵士のうち七人が命を落とし、残りの四名も重体に陥ったという実話が残っている。》

 という史実が紹介されています。
 そんな危険な毒のある花木を、尼崎はどうして市の花にしたのだろう……? ふと感じた疑問の答えは、市のホームページにありました。
「昭和20年代、ジェーン台風などの度重なる台風で、尼崎南部が海水に浸かってしまった時もキョウチクトウは残り、花を咲かせ市民を元気付けたので、天災や戦災からの復興のシンボルとして選定された。」
 なるほどねぇ! 実際、公園や道路脇、工場地帯などに多く植えられ、あちこちで見かける夏の花です。
 先の書『雑学知識』には《車の排気ガスや都会の大気汚染をものともせず》《公害に強い花として緑の少ないところでは珍重されている》とも出ていたので、夾竹桃には汚れた空気を浄化する役割もあるのでしょう。
 さらに、大後美保 編『季語辞典』(東京堂出版) によれば、《外国では古くから夾竹桃をやさしさと、平和を象徴する花としている》とのことです。やはり市花にふさわしい、ありがたい花だと思いました。



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