前月へ 翌月へ HOME

出来立て!今日の一首

〜平成三十一年四月分 の 新いろは歌 中村菜花群〜

2019/ 4/1〜4/5 4/6〜4/10 4/11〜4/15 4/16〜4/20 4/21〜4/25 4/26 4/27 4/28 4/29 4/30


平成31年4月30日(火)

        桃 太 郎 譚


 犬猿雉も 連れゐけり

 鬼なぞ討ちて 和睦得ん

 宝は船へ 山と載せ

 明日を喜び 夢見笑む


       いぬさるきしも つれゐけり
       おになそうちて わほくえん
       たからはふねへ やまとのせ
       あすをよろこひ ゆめみゑむ


「ひとぉぉぉつ、人の世、生き血をすすり、
 ふたぁぁぁつ、不埒な悪行三昧、
 みぃぃぃっつ、醜い浮世の鬼を、退治てくれよう、桃太郎!」

 昭和五十一年十月から五年に渡って放送された、高橋英樹主演の『桃太郎侍』(日本テレビ系) も懐かしいですが……。
 平成最後を締めくくる新いろは歌が、まさか桃太郎≠ノなるとは思いませんでした。
 一昨日、イオンモール伊丹(かつてのダイヤモンドシティ)へ行った時、コーヒー売場で端午の節句の飾り物を見たのです(上の画像)。一瞬、七福神を乗せた宝船かと思ったら、乗っているのが犬、猿、雉、そして桃太郎です! 菖蒲や鯉幟まであって「こどもの日」と書かれています。なんとも楽しいですね!
 このことがずっと頭に残っていて、今日の一首となったわけです。
「桃から生まれた、桃太郎!」という桃太郎侍の啖呵も、耳から離れませんでした(笑)。



平成31年4月29日(月)

        時 代 架 橋


 色鮮やかに 花咲みぬ

 鳥大空へ 立つを良し

 街優れゐて 夢恋ふる

 元気胸燃え 昭和の日


       いろあさやかに はなゑみぬ
       とりおほそらへ たつをよし
       まちすくれゐて ゆめこふる
       けんきむねもえ せうわのひ


 平成最後の「昭和の日」ということで、一首詠んでみました。
 明日が天皇陛下退位の日、そして明後日五月一日が皇太子殿下の即位の日です。この三日間で「昭和」「平成」「令和」と、三つの時代が勢揃いする感があります。いよいよ日本の歴史の節目ですね!
 グローバルな時代なのだから元号なんて無くせばいいのに、と言う人もいます。私に言わせれば、とんでもない! あえて伝統を途絶えさせる意味があるのか、と私は言いたい! それはまるで、
「苗字なんて必要ない。あなたは明日から中村≠ナはありません」
 と言われているような気がします。何十年も何百年も受け継がれて来たものを捨て去る勇気(?)は、私にはありません。やはり継続は力なり≠ナすよ!
 新元号「令和」、好いじゃないですか! 心機一転、頑張るぞ!!
 なお、上の画像は昨年四月二十九日の上坂部西公園(尼崎市都市緑化植物園)です。一年前は何をしてたかな、と思ったので……。



平成31年4月28日(日)

        初 夏 予 感


 また風吠え 声強め

 柳揺れゐる 路地抜けん

 全て緑ぞ 野に嵐

 胸は爽快 美を想ふ


       またかせほえ こゑつよめ
       やなきゆれゐる ろちぬけん
       すへてみとりそ のにあらし
       むねはさうくわい ひをおもふ


 四月二十六日、みずほ銀行の東京都内にある一部のATMで現金が足りなくなり、お金が引き出せないトラブルが発生したとニュースで聞きました。十連休前で利用者が殺到したことが原因だそうですね……。
 だからというわけではありませんが、昨日、銀行へ行って来ました。空気がひんやり冷たい朝。一週間前に初めて半袖を来たことが嘘のようです。花冷え≠ニ言うには遅いけれど……。武庫之荘北公園の前を通りかかったら、八重桜の花吹雪を見ることができました。
 風が時々ごうごうと音を立て、木々がたびたび騒めきました。あ、これが青嵐≠セ!
 今度は武庫之荘四丁目あたり、川沿いの柳の枝が揺らめくのを見たくなり、わざわざそちらへ向かいます。
 その時点で、頭の中ではすでに仮名文字の配列を思い浮かべていました。



平成31年4月27日(土)

        歯 応 舌 触


 螢烏賊など 載せゐんや

 旨きお寿司ぞ 我笑みぬ

 今日も腹減り 味を愛で

 歓び愉悦 胸に咲く


       ほたるいかなと のせゐんや
       うまきおすしそ われゑみぬ
       けふもはらへり あちをめて
       よろこひゆえつ むねにさく


 二月二十日になみだ巻≠フ歌を詠んで以来、久しぶりに「廻鮮寿し 丸徳」の寿司ネタが題材です。今日は春限定メニューほたるいか≠フ軍艦を食べたので、一首捻ってみました。お寿司としては珍しいですよね! ぷちっとした食感と滑らかな味わい、やっぱり美味しかったなぁ!
 ところで、この四月は食べ物の歌が少なかったなぁと感じました。毎月たいてい十首以上浮かんで来るのに、今月はカツ丼、ラーメン、そして今日のお寿司、わずかに三首です。私の場合、味覚や食欲が創作意欲につながることが多いのですが……。春は食べ物とは反対に花や風景の歌が増えるようです。
 ことわざに花より団子≠ニ言うけれど、実際に綺麗な花を目にすれば、案外団子より花≠ネのかもしれませんね。



平成31年4月26日(金)

        同 字 別 語


 廊下跳ね行き 其方へ来む

 目を据ゑつ寄る 我唖然

 見えゐし棚に 布袋

 布袋様やと 思ひけり


       らうかはねゆき そちへこむ
       めをすゑつよる われあせん
       みえゐしたなに ぬのふくろ
       ほていさまやと おもひけり


 職場の廊下を歩いていて、ふと足を留めました。棚の上の収納籠に貼られた文字に目が行ったのです。
 あ、布袋様だ! なんでこんな所に布袋様が……?
 私は七福神が好きだから、思わぬ読み違えをしたのでしょう。「ほてい」ではなくて「ぬのぶくろ」ですね(笑)。籠の中に、紙袋と布袋が入れてあったのです……。
 読み方を変えると全く異なる意味を持つ熟語があります。「色紙(しきし/いろがみ)」とか「風車(ふうしゃ/かざぐるま)」とか、探せばまだまだあるでしょう。
「最中(もなか)」を食べている「最中(さいちゅう)」、なんてね。
「上手(じょうず/かみて/うわて)」や「生物(せいぶつ/いきもの/なまもの)」は、三つもの読み替えができますね。
 それにしても今回の「布袋」は、非常に面白い例だなぁと感じ入ったので、一首詠んだ次第です。



 2019年4月 1〜5日 6〜10日 11〜15日 16〜20日 21〜25日 26日 27日 28日 29日 30日

前月へ 翌月へ HOME

inserted by FC2 system