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出来立て!今日の一首

〜令和二年四月分 の 新いろは歌 中村菜花群〜

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令和2年4月30日(木)

        夕 餉 春 風


 沸かむ湯も入れ 即席の

 ヌウドル待てり ベランダに

 親子笑みを得 よろしげ居

 熱猶冷めず 味はふ日


       わかむゆもいれ そくせきの
       ぬうとるまてり へらんたに
       おやこゑみをえ よろしけゐ
       ねつなほさめす あちはふひ


 昨夕の話です。カップラーメンをベランダで食べようと妻が言うので、それを聞いた瞬間、ちょっと面倒だなぁと感じました。
 芸能人が持っているような別荘でリゾート地の美しい風景を眺めながら、というのなら意味は分かるけれど、どうしてわざわざ物干しのある狭いスペースで食べるんだ、ごみごみした町を見てもしかたないし……。そう思ったのです。
 しかし、頭から決め付けたのでは、少しも前に進めません。一度は何でもやってみるものですねぇ。
 これが非常に気持ち好かったんですよ!
 ガラス戸一つ開けて一歩外へ出るだけで、こんなにも気持ちが晴れるとは!
 爽やかな風に触れると食欲も増し、もうピクニック気分でした。子供にも大好評で、きゃあきゃあ燥いで食事(近所のご迷惑にならぬよう注意が必要ですが)のあと、部屋へ入ってからも頻りに「楽しかった……!」とつぶやいていました。かなり心に響いたようです。
 改めてベランダから外を見渡すと、なるほど穏やかな春の宵でした。
 今のご時世、平凡な日常こそが一刻値千金≠ネのかもしれません。



令和2年4月29日(水)

        小 贅 沢 感


 プレエト熱す 燃ゆる美味

 黒毛和牛を 載せ焼かむ

 堪らぬ味よ 美味しさに

 ご飯添へゐて 猶笑めり


       ふれえとねつす もゆるひみ
       くろけわきうを のせやかむ
       たまらぬあちよ おいしさに
       こはんそへゐて なほゑめり


 鮮やかな赤、程良い霜降り具合。鉄板に軽く載せ、表と裏の色がちょっと変わる程度に焼いてすぐに引き上げ、塩胡椒をパラっと降っていただく。軟らかな食感、肉の味、最高ですね!
 妻が一式用意してくれた黒毛和牛と生野菜をホットプレートで焼いて食べました。熱々のを頬張りながら、冷たいビールをクーっと一杯、旨い!! あ〜、生きてて好かった(←オーバーかな?)。
花より団子≠ニ言うけれど、逆にこの春は無意識に花≠フ歌ばかり詠みましたねぇ。もう一ヶ月以上団子≠キなわち食べ物の即詠が無かった(ラーメンの回想歌は一つありますが)というのも、私としては珍しいことです。緊急事態宣言下で気軽に外食にも行けなくなってしまったのだから、無理もないでしょう(泣)。
 そんな中、今日は久しぶりに食事のひとときを心底寛げた気がします。ささやかながらも家庭での楽しい時間、懐かしい贅沢感をありがとう!
 とりあえずは平穏な生活と、美味しい食材と、そして家族とに、感謝の意味を込めて一首!



令和2年4月28日(火)

        清 漣 弧 鳥


 あけぼの渡る 風も撫で

 鷺純白や 其方に居む

 水路降り濡れ 前見つめ

 魚狙ひ得 飛ぶ声よ


       あけほのわたる かせもなて
       さきしゆんはくや そちにゐむ
       すいろおりぬれ まへみつめ
       うをねらひえ とふこゑよ


 昨日、サギにあいました!
 といっても、漢字で書くと「詐欺に遭う」ではなくて「鷺に逢う」です!(……まぁ、いわゆる親父ギャグ≠フ部類ですが、そこは風流に掛詞<かけことば>≠ニ言っておきましょう! 笑)
 早朝、近所を自転車で走っていたら、水路にちらっと白いものが見えたのです。
 あ、サギだ!
 なぜか頭の中に次々と、様々な言葉が浮かんで来ます。
 まず「白鷺城」、国宝姫路城の別名ですね。それから「掃溜めに鶴」、まぁ鶴ではないですが、そんなイメージです。
 水の中で餌でも探しているのかな? そう思った途端、「あの声で蜥蜴(とかげ)食らうか時鳥(ほととぎす)」。あとで『日本大百科全書』(小学館) の「サギ」の項を見たら、
《大形種は、魚類、カエル、タニシ、甲殻類、昆虫類などのほかに、ヘビ、トカゲ、ネズミ、小鳥などもつつき殺して食べる。小形種は昆虫類を主食とし、小魚や小形のカエルも餌とする。》
 などと書いてありました。生きるためには当然ですね。
 そして、名前は「サギ(詐欺)」だけど、見た目は真っ白の「清廉潔白(せいれんけっぱく)」とかね。
 他愛無い事を、朝からいろいろ考えました。
 爽やかな空気を吸おうと外へ出たおかげで、とりあえず新いろは歌も一首詠めたわけです。これは「犬も歩けば棒に当たる」というやつかな?



令和2年4月27日(月)

        刺 青 奉 行


 消えぬ罪へぞ 御声上げ

 悪を捻れり ぶちのめす

 啖呵よろしう 出でゐむは

 遠山桜 背に燃ゆ


       きえぬつみへそ おこゑあけ
       わるをひねれり ふちのめす
       たんかよろしう いてゐむは
       とほやまさくら せなにもゆ


 子供の時からテレビ時代劇『遠山の金さん』が大好きでした。特に、杉良太郎の金さん≠ノ心酔し、毎週々々夢中で観ていましたねぇ! あの頃はまだ家にビデオなんて無かったですから、見逃したりしたらどれほどショックだったことか……!
 新聞のテレビ欄に出ている番組紹介の部分を切り抜いて、当時、大切に保存していました。その切抜きを探してみたら、なんと! 今もありましたよ!!(下の画像)

   来月から再スタート
   一年半ぶり杉良太郎の「遠山の金さん」

    ご存じ金さん …杉良太郎=写 真=主演の
   「遠山の金さん(朝日 系 木曜 後8・00)
   が、二月十五日から再びブラウン管に登場す
   る。四十五年の中村梅之助に始まり、市川段
   四郎、橋幸夫に続く四代目金さんとして杉良
   太郎が登場したのが五十年十月。以来、二年
   間にわたってお茶の間に親しまれてきたのだ
   が、今年は一年半ぶりのお目見えになる。
    これまでのシリーズと変わるのは、ラスト
   シーン、白州の場面。奉行遠山の駆け引き、
   ヒューマニズムを入念に描いて、白州場面を
   いっそう盛り上げる。(以下省略)

 上記は昭和五十四年一月(日にち不明)の神戸新聞(デイリースポーツかもしれません)記事です。懐かしいですねぇ!
 この後、五代目に高橋英樹、六代目に松方弘樹、七代目に松平健と続くわけですが。
 杉良太郎以降「奉行遠山の駆け引き、ヒューマニズムを入念に描いて……」という御白州中心のドラマ形式が確立されたようですね。終幕直前のセリフが「これにて一件落着!」に固定された理由がよく解りました。
 嬉しいことに、現在はサンテレビ(神戸のテレビ局)で松方弘樹の『名奉行 遠山の金さん』の再放送をやっていて、毎回楽しく観ています!



令和2年4月26日(日)

        散 歩 帰 途


 公園の藤 常に揺る

 風また過ぐや 荒れてゐむ

 腹なぞも減り 時計を見

 侘しさ覚え 蹌踉めきぬ


       こうゑんのふち つねにゆる
       かせまたすくや あれてゐむ
       はらなそもへり といけをみ
       わひしさおほえ よろめきぬ


 またまた親子三人で、武庫川まで散歩です。
 たいてい西武庫公園付近から髭の渡し跡まで行くのですが、今日は甲武橋を渡って西宮市側の松林をぶらぶら歩きました。
 樋ノ口町バス停付近まで行ったら堤を越えて住宅街のほうへ下り、今度は堤防外側の生活道路を甲武橋まで引き返します。途中「樋ノ口町2丁目東公園」でしばらく遊び、藤棚やヒラドツツジの花も観賞しました。時々風が強く吹いて、藤の花房がゆらゆら揺れます。尼崎まで帰って来たら、通りすがりのマンションの自転車が将棋倒しになっていたのには驚きました。春荒れですね。
 お昼を過ぎてお腹がぺこぺこでした。武庫の里を歩いていた時、水路沿いの家のベランダに干してあった蒲団が強風で吹き飛ばされるのをちょうど目撃してしまいました。飛んだ蒲団は水に浮かんでどんどん流されてゆきます。急いでその家の住人らしき人に知らせてあげましたが、ほんとにフトンがふっとんだ≠じゃあ、洒落にもなりませんね……(苦笑)。
 吹っ飛んだ蒲団のことは差し控え、今日の強風を歌に詠み入れた次第です。



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