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出来立て!今日の一首

〜令和五年二月分 の 新いろは歌 中村菜花群〜

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令和5年2月28日(火)

        四 時 眺 望


 春 蓮華草 咲む田へと

 夏 雲の峰 湧いてゐぬ

 秋 お山染め 風ら冷え

 冬 夜を凍り 地白にす


       はるれんけさう ゑむたへと
       なつくものみね わいてゐぬ
       あきおやまそめ かせらひえ
       ふゆよをこほり ちしろにす


 二月七日、二月八日、二月十日と、三首も詠んだ春夏秋冬≠フ歌。二月十一日には一二三四五六 春夏秋冬≠フ歌まで作り、もう沢山だろうと感じていましたが……。
 不思議なものですねぇ、なぜかまた急に浮かんだ四季の歌!
 陶淵明の「四時」が不意に頭をよぎりました。令和三年十一月三十日の項でも述べた通り、私はこの詩の夏の一節「夏雲奇峰多し」という言葉が大好きなのです。それでまぁ「夏」から作り始めたわけですが……。
「四時」の漢詩を新いろは歌に詠み替える――。これは永遠のテーマかもしれません!
 ところで、拙作第三句目「秋 お山染め」は二月七日の作と同一の表現になってしまいました。前作を全く意識していなかったのに、いつの間にか思考回路が固定しているのでしょうね。
 今回、夏の「雲の峰」と春の「蓮華草」の取合せが自分では気に入っています。



令和5年2月27日(月)

        望 新 天 地


 胸に夢持ち アイランド

 渡る 六甲大橋よ

 嘆きや憂ひ 挫折をぞ

 乗り越えて 前見据ゑゐぬ


       むねにゆめもち あいらんと
       わたるろくかふ おほはしよ
       なけきやうれひ させつをそ
       のりこえてまへ みすゑゐぬ


 不思議な歌が出来上がりました。今回は「渡る 六甲大橋よ」という部分以外、ほとんどがフィクションです。
 べつに神戸へ転勤になったわけでもなく、六甲アイランドへ移り住むわけでもありません。
 人生の挫折を乗り越えるほどのドラマチックな経験も、別段心当たりがありません。単に「え」「こ」「せ」「な」「れ」の仮名の扱いに困って「のりこえ」「ざせつ」「なげき」「うれひ」の語を思い付いただけなのです。イメージのつながりから一つの筋書きが見え、「ろくかふアイランド」を舞台に新いろは歌にまとめてみました。
 実は昨日、前回行けなかった六甲大橋遊歩道(一月二十二日の項参照)をようやく渡ることができ、非常に良い気分転換になりました。一人でただぶらぶらと歩いただけですが、橋からの眺めをゆったりと楽しみ、なんだか大冒険をして来たような気持ちになりました。
 今度また、風の向くままのんびり散歩に来たいと思います。



令和5年2月26日(日)

        街 乃 裏 窓


 眠れ都会よ 陽落つるに

 風の路地居ぬ 子守唄

 笑んで星見え 安らげば

 甘き夢へ 汝を誘ふ


       ねむれとくわいよ ひおつるに
       かせのろちゐぬ こもりうた
       ゑんてほしみえ やすらけは
       あまきゆめへ なをさそふ


 菅原文太の唄う「眠れ都会よ」(竜真知子 作詞/小林亜星 作曲) を新いろは歌に詠みたいと思いました。

   眠れ都会よ
   俺の心で
   語りきれない
   昨日 忘れて

   ああ 風の迷路で
   一人 見上げた
   空に流れる
   遥かなララバイ

 これは昭和五十六年に放送された刑事ドラマ『警視庁殺人課』(テレビ朝日系) の主題歌で、今改めて聴き返すと胸に沁み入るような名曲です。
 ドラマのほうは、最終回前後編で殺人課刑事全員が華々しく殉職したことで伝説≠ニなりました。手に汗握るカーアクションや銃撃戦、息を呑む殉職シーン、菅原文太に鶴田浩二という銀幕のスター二大共演というのは、今のテレビドラマではまず考えられない豪華さですね!
 是非もう一度、第一話から全話観たくてたまらないので、懐かしの再放送を切に望む次第です!!(サンテレビ等の地方局でやってくれないかな?)
 最終話だけは、昔に録画したビデオテープが本棚の奥から出て来たので(!)、最近繰り返し鑑賞しています。泣けます!



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