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出来立て!今日の一首

〜平成二十九年十一月分 の 新いろは歌 中村菜花群〜

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平成29年11月30日(木) b

        深 紅 宝 果


 魚卵の様に 多い粒

 石榴爆ぜゐぬ 美見ゆべし

 種ごと噛めて 味をぞ得

 我も笑まむ 好けるなり


       きよらんのやうに おほいつふ
       さくろはせゐぬ ひみゆへし
       たねことかめて あちをそえ
       われもゑまむ すけるなり


 昨夕、食後に石榴を食べました。
 レストランのデザートなどで果肉の粒がほんの少し載ったものなんかは食べたように思うけれど、生の実を丸ごと賞味するのは、今回が全くの初めてです。おいしかった!
 種もそのまま食べられるのが好いですね。ちょうど松の実みたいな感じで、噛み締めると香ばしい味わいがあります。果肉の上品な甘さに種の噛み応えもプラスされ、一種独特の美味を愉しむことができました。
 歌で「魚卵の様に」と表現しましたが、じつは夕食が、妻が作ってくれた「マグロいくら丼」だったのです。こうして並べてみると、石榴の紅い粒々が、一見して筋子にも似ています(下の画像参照)。昨日はこの紅い物尽くしで大満悦、家に居ながら高級料理店でディナーを頂いた気分になれました。
 御馳走様でした!

  



平成29年11月30日(木) a

        散 髪 心 地


 彼方へ笑めば 胸にも陽

 我温い幸 覚えける

 理容店ぞや 微睡みを

 席居つ ガラス越しの冬


       あなたへゑめは むねにもひ
       われぬくいさち おほえける
       りようてんそや まとろみを
       せきゐつからす こしのふゆ


 ちょうど一週間前、散髪に行った時に恍惚とした心持ちになりました。
 外は冬なのに店内は暖かく、まるで南国楽園の気分です。暑くもなく、寒くもなく、なんともいえず良い塩梅、心はのびやか、身は安楽、夢うつつの状態でうっとりしました。天国というのも、きっとこんな感じなのだろうなぁ……と。
 実に好い気持ちだったので、それを歌に詠もうと今度は脳味噌が四苦八苦。
 今回は珍しく長期戦で、出来上がるのに一週間かかりました。仮名のジグソーパズルがなかなか巧くハマらなかったのです。
 こんな時は、しばらく放っておくに限ります。寝かせている間に頭の中で無意識に作業が進行し、そして今日、ひらめきの完成です!「ガラス越しの冬」という表現が、我ながら気に入っています。
 ちなみに上の画像は、私がいつも利用している理容店(「りよう」の洒落じゃありません。笑)、プラージュ南塚口店です。冬ではなくて、昨年春に撮った表の風景ですけどね。



平成29年11月28日(火)

        初 冬 艶 景


 紅葉狩りへと 今日訪ね

 和装する山 良き自然

 くれなゐに映え 声あらぬ

 その色愛でむ 美を覚ゆ


       もみちかりへと けふたつね
       わさうするやま よきしせん
       くれなゐにはえ こゑあらぬ
       そのいろめてむ ひをおほゆ


 今日詠んだ新いろは歌。べつに意識していたわけではないのに、

  童は見たり 野なかの薔薇
  清らに咲ける その色愛でつ
  飽かずながむ
  紅におう 野なかの薔薇

 という、唱歌「野なかの薔薇」(ゲーテ 作詩/近藤朔風 訳詞) を想わせる表現となりました。
 さて昨日、朝日放送『おはよう朝日です』で絶対に混雑しない! 京都紅葉の穴場≠紹介していました。
 入園が1日100名限定の日本庭園「白龍園」、フランス料理を味わいながら清水界隈が一望できる「レストランひらまつ高台寺」、紅葉と共にミシュラン星付き精進料理が愉しめる「妙心寺退蔵院」の3件です。そりゃあ行ってみたいですが……。
 この時期、なんだかんだと雑用ばかりで、そうそう遊びに行けません! 仕方がないので、日常生活の中で紅葉狩りを楽しむことにしました。
 今日はほんとに好い天気。市役所への行き帰りに、あちこちの公園等でほんのしばらく気分転換。色付く葉っぱを眺めつつ、小春日和を実感できました(以下、画像参照。特に注目は、新いろは歌にぴったりの「イロハモミジ」!)。これでけっこう楽しかったです。

  
尼崎市富松町・辰巳台公園          尼崎市南塚口町・庄下川生嶋橋

  
尼崎市栗山町・生島北公園          尼崎市南塚口町・庄下川X橋 

  
伊丹市車塚・笹原公園 1           伊丹市車塚・笹原公園 2   



平成29年11月24日(金)

        七 九 四 年


 さて梅揺らす 風ぞ立ち

 春告げ鳥 鳴く音好し

 この美に触れ 和を覚え

 麿も笑みゐぬ 平安京


       さてむめゆらす かせそたち
       はるつけとり なくねよし
       このひにふれ わをおほえ
       まろもゑみゐぬ へいあんきやう


「奈良時代に仏教が国家の保護をうけてさかんになると、僧のなかには政治に口出しするものもあらわれた。また、貴族や寺社は自分の土地をひろげようとして争い、農民は口分田をすてて逃亡するなど、律令政治がしだいにゆるみはじめた。
 桓武天皇は藤原氏とむすんで、人心を一新し律令政治をたてなおすため、794 年に都を平安京(京都市)にうつした。その後、1000年あまりも平安京に皇居がおかれたが、武家政治がはじまるまでの約400年間は、貴族を中心とする政治が行われた。この間を平安時代という。」

 私が中学時代に学んだ教科書(『中学社会 歴史的分野』井上智勇、時野谷勝ほか7名著/大阪書籍株式会社、昭和51年刊)にそうあります。懐かしいですねぇ。
 そして、誰が考えたのか「ナクヨ(794)うぐいす平安京」の年代暗記法。貴族の風雅さが鶯に象徴されていて、名案だと思います。
 ちなみに、『日本史の年代暗記法』(宮沢嘉夫 著/旺文社、昭和52年初版発行) という本には、「無くし(794)ます僧侶の介入、新京で」という暗記法が記されていました。時代背景がよくわかる句ですね。
 さて、私は朝起きると一番に体重計に乗るのが日課になっていまして、今朝の体重が「79.4kg」だったのです。その数字を一目見て「平安京だなぁ」と思いました。これが今日の一首の題材となったわけです(笑)。実際、もう少し痩せなければ……(苦笑)。でも80kgを切ってるから、まだマシかぁ。

 ところで、三日前に書いた柊の花の話、あの「柊源郷」が見つかりました! 思っていた区域と全然違う場所だったのです。急いでいる時の記憶がいかに曖昧であるかを思い知らされました。
 今回、体重計の画像だけでは色気がないので、真っ白い、枝に積もった雪のような満開の花々≠フ画像を最後に添えておきます。



平成29年11月23日(木) b

        魚 卵 盛 飯


 載れるは根深 玉子焼

 山葵添へ笑む イクラ丼

 悦をも覚ゆ 味好けり

 よろしう嘗めて 店に居ぬ


       のれるはねふか たまこやき
       わさひそへゑむ いくらとん
       えつをもおほゆ あちすけり
       よろしうなめて みせにゐぬ


 散髪に行った帰りの楽しみは、なか卯(南塚口店)での昼食です。すっきり爽やかな気持ちで食べるから、一層美味しく感じるのでしょう。
 というわけで、今日は「天然いくら丼」をいただきました。いつもならカツカレーを頼むところですが、今の時季はイクラや牡蠣が美味しいですからねぇ。牡蠣とじ丼も大好きなメニューの一つです。
 さてそのイクラ丼、ご飯の上に錦糸玉子を敷き詰め、その上にイクラ、葱を載せ、胡麻を少々散らし、山葵が添えてあります。食後の満悦に浸りつつ、それらの食材を、頭の中で言葉に置き換えてゆきました。
 最初、玉子焼のことを「たまご」と表現していたのですが、考えてみるとイクラも「たまご」だなぁと思い、魚卵と鶏卵の違いを明確にするために鶏のほうを「たまごやき」にしたところ、「葱(ねぎ)」と「き」の字が重なったので、葱を「根深(ねぶか)」と言い換えました。そうして言葉を当てはめてゆくうちに、わりとすんなり上記の歌が整いました。
 そりゃあ、テーマがテーマだもの……! いくらでも作れますよ(笑)。



平成29年11月23日(木) a

        一 一 二 二


 好くケエキ持ちつ 帰る夕

 良い夫婦の日 猶笑まん

 親子三人 揃うて座

 幸せ胸に 我ら居ぬ


       すくけえきもちつ かへるゆふ
       よいめをとのひ なほゑまん
       おやこみたり そろうてさ
       しあはせむねに われらゐぬ


 昨夕、ローソン販売のプレミアムロールケーキを三つ買いました。
 パッケージには「11月22日はいい夫婦の日」「毎月22日の上には、15(いちご)が乗っている!」の表示があり、ケーキの上にはハート型の苺が二つ載っています。これはおもしろい! 確かにプレミアムな感じがして、いっぺんに気に入りました。わずか150円の商品ですが、妻もけっこう喜んでくれた様子なのが何よりでした。
 うちの子もケーキが大好きで、待ちかねたように「ケーキ、ケーキ!」とはしゃぎます。ささやかながらも親子三人で、ちょっとした幸福感を味わいました。ローソンさん、ありがとう!
 誰が最初に考えたのか、「一一二二」の語呂合せで「いい夫婦の日」。単なる言葉の綾ながら、それが少しでも夫婦円満、家庭円満のきっかけになるなら素晴らしいことです。
 もう一つ、「ショートケーキの日」というのも目の付け所がいいですね。カレンダーで「22」の上が「15」だなんて、言われてみるとそうですが……。普段あまり意識しませんよねぇ。
 偶然ながら、昨日はコンビニに立ち寄って良かったです!
 人生、一期一会。いわば、毎日が記念日です。ほんのちょっとした出来事を心から楽しみ、日々喜べる人でありたいと、私自身そう思います。



平成29年11月22日(水)

        柳 葉 魚 子


 オレンヂ色で 微粒ぞや

 魚の卵ら 食へば笑む

 寿司愉悦嘗め 程良き値

 茶話も明るげ 店に居ぬ


       おれんちいろて ひりふそや
       うをのたまこら くへはゑむ
       すしゆえつなめ ほとよきね
       さわもあかるけ みせにゐぬ


 昨日親子三人で、久しぶりに回転寿司屋へ行きました。くら寿司伊丹昆陽店です。美味しかった!
 トロやサーモンももちろん大好きだけど、私はとにかく魚の卵が好きで、イクラや数の子は絶対に外せません!
 今回は「ししゃもっこ軍艦」が回って来たので、もう嬉しくなってしまって第一番に飛び付きました。しばらくしてからタッチパネルでも二度注文したところ、その盛りの良さには大いに感動しました。こぼれるくらいの山盛りですよ! ししゃもっこ好きの人のために、調理場の人がサービスしてくれたんじゃないかな?! 二度目の注文時に来た品が、右の画像です!!! 凄いでしょう!
 こりゃぜひ歌に詠まなければならないな! それが私の使命だな! そう感じました。
 そこで問題になるのが、またもや仮名の重複です。
「ししゃもっこ」だと、「し」の字が重なってしまうんですよね。
 そんなわけで、「オレンジ色」「微粒」「魚卵」等の語を思い浮かべ、訓読みにしたり、音読みにしたり、表記を変えたり、四苦八苦しました。
 ところでお寿司のメニューに、蟹、雲丹、イクラの北海三種盛り軍艦というのがあって、一皿に豪華さと贅沢さがあふれてとても良かったので、最後に画像を添えたい(ついでに数の子も、錦上花を添えたい!)と思います。
 ……ごちそうさまでした。

  



平成29年11月21日(火)

        満 開 之 柊


 棘や保護する 白の花

 数多枝へ付き 小う咲み

 お空風呼び 冬めいて

 我温もりを 胸に居ん


       とけやほこする しろのはな
       あまたえへつき ちさうゑみ
       おそらかせよひ ふゆめいて
       われぬくもりを むねにゐん


 昨日、通勤の途中で白いものがチラッと目に入りました。満開の柊の花です!
 ふつう柊というと、鋭い棘のある葉に守られるようにして、星屑みたいに小さな花が目立たぬ程度に咲くものと思っていましたが……、その時見た様子は、まさしく「満開」だったのです!
 ケータイで撮影したくなり、引き返そうかとも考えましたが、急いでいたので結局そのまま通り過ぎました。
 もう一度同じ花に逢いたくて、今朝いつもの道筋を注意深く見て回ったのですが、昨日の木はとうとう見つかりませんでした。あの場所はいったい何処だったのか、不思議です。柊の花だと思ったのが、何かの見間違いか、あるいは昨日と今日とで印象が違って判らなかったのか……。確かに柊の木は何ヶ所か植わっていました。どれも昨日のイメージとは合致しませんでした。あの真っ白い、枝に積もった雪のような満開の花々……。あれは桃源郷ならぬ「柊源郷」だったのかもしれません。
 さて、「柊」は歴史的仮名遣いで「ひひらぎ」と書くため、新いろは歌では植物名を用いることが出来ずに苦労しました。「棘」「白」「数多」「小う」等の語で工夫したつもりなのですが、柊の花の雰囲気はそれなりに出たでしょうか。



平成29年11月17日(金)

        対 冬 将 軍


 衣重ねず 夏着にて

 少と冷え覚ゆ 目見張りぬ

 明けたる野をや 威勢良く

 武運増し 我空へ笑む


       ころもかさねす なつきにて
       ちとひえおほゆ めみはりぬ
       あけたるのをや ゐせいよく
       ふうんましわれ そらへゑむ


 私は暑がりで汗かきなので、冬でも夏向きの薄いズボンにワイシャツ姿です。十二月に入ると屋外ではセーターを着ますが、室内では脱いでいます。暖房で暑いですからね。
 正装の必要がなければ上着はほとんど着ず、薄手のジャンパーで代用します。コートは重くて全く着ません(というより、持っていません)。
 とにかく身軽が一番です! 実際、ちょっと寒いくらいのほうが心身共に引き締まり、私にとっては良いのです。
 高村光太郎の詩「冬が来た」を思い出します。

  冬よ
  僕に来い、僕に来い
  僕は冬の力、冬は僕の餌食だ

 という一節が、冷えた朝における座右の銘です。
 昨日と比べて今朝は急に寒くなったかな、と感じたのも一瞬のこと。出勤時にジャンパーさえ着れば、気分はもう夏モードです。セーターはまだ半月先のことですね。
 あくまで私の感覚ですが、子供の頃に感じた刃物のやうな冬≠ネんて、ここ尼崎では遠い昔の夢物語となりました。手水鉢に氷が張って、吐く息は真っ白、手には霜焼け、半ズボンの膝にあかぎれ(小学校が冬でも半ズボンの制服だったので)、そんな少年時代になんだか郷愁を感じてしまう昨今です。



平成29年11月16日(木) b

        初 冬 日 輪


 石蕗咲みぬ 猶も揺れ

 そこらへ根差し 目立ち居む

 実に向日葵の 黄色よ

 前途明るく 調和をす


       つやふきゑみぬ なほもゆれ
       そこらへねさし めたちゐむ
       けにひまはりの いえろおよ
       せんとあかるく てうわをす


 近所を散歩した時に、黄色い花がいっぱい咲いているのを見て、何の花だろうと思いました。
 今日、別の場所で同じ花を見、花壇の表示プレートで「ツワブキ」という名を知りました。漢字では「石蕗」と書くそうですね。
 歌に詠もうとした時に「ツワブキ」という響きから「津和野」の地名を連想し、花の名の歴史的仮名遣いは「つわぶき」だと思い込んでしまったのです。あとで「つはぶき」だと判り、どうしようかと迷いました。「つはぶき」の黄色い花が「ひまはり」に似ているていうことを言いたかったので、何としても「向日葵」の語を残したかったのです。
「は」の字の重複をどうやって回避しようか……。
 この最大の難問は『広辞苑(第六版)』が解決してくれました。「ツワブキ」の別名「ツヤブキ」の発見で、仮名の「調和」が得られ、この歌の「前途」も「明るく」なりました。
「黄色」を「イエロオ」と読ませるのは、まぁ愛嬌です(笑)。
 出来栄えは今一つながら、創作過程の苦労も楽しく、私にとっては山あり谷ありの面白い一首となりました。



平成29年11月16日(木) a

        海 乳 揚 立


 衣サクツと カキフライ

 食べゐん我 湯気に笑む

 マヨネエズや そのお塩で

 妙味を成せり 味はひぬ


       ころもさくつと かきふらい
       たへゐんわれ ゆけにゑむ
       まよねえすや そのおしほて
       めうみをなせり あちはひぬる


 ガスト伊丹野間店でカキフライを食べました。揚げ立ての熱々で、衣はサクッと、身は柔らかくジューシーで、とても美味しかったです。カキフライが5個並んだ真ん中にタルタルソースが少し掛けてあり、とんかつソースと練り辛子が添えられていて、特にお塩は用意されていません。歌に詠んだ「そのお塩」というのは言葉の綾ですが、岩塩なんかを付けて食べるのも、あっさりした味わいで好いですね。
 牡蠣はフライも大好きですが、生牡蠣を貝のまま電子レンジでチンして、貝の蓋が少し開いたところで過熱をストップし、自然の味わいを楽しむというのが最高の贅沢だと思います。貝の中に溜まった汁はいかにも栄養たっぷりという感じで、程良い海の塩味がもう堪えられない旨さです!
 こんな話をするだけで……、またもやパブロフの犬¥態です。あ〜〜〜、たまらん!!!



平成29年11月15日(水)

        熱 熱 一 舟


 蛸焼並べ 湯気に笑む

 我勇んで居 マヨネエズ

 鰹節も 多め載せ

 とろり味はひ 温み得るぞ


       たこやきならへ ゆけにゑむ
       われいさんてゐ まよねえす
       かつをふしも おほめのせ
       とろりあちはひ ぬくみうるそ


 昨夕、妻が買って来てくれた蛸焼を食べました。その時に、またもや仮名文字を思い浮かべていました。「たこやき」そして「マヨネエズ」「かつをぶし」、これなら同じ文字が重ならないなぁって。
 蛸焼の上に振りかけるものとして青海苔も加えたかったけれど、「あをのり」と「かつをぶし」とで「を」の字が重なってしまいます。歴史的仮名遣いで統一させるために、青海苔は断念しました。
 やっぱり蛸焼は好いですねぇ! 特にこれからは寒くなるので、お腹が空いた時に熱々のを頬張りたくなります。ソースの香り、鰹節の風味、マヨネーズの濃厚さ、そして蛸焼の皮の香ばしさに、とろりとした中味と、蛸の歯応え……。たまりません!
 神社へお参りした時なども、蛸焼の出店があるとついつい買ってしまいます。賑わいのある境内で食べるから、雰囲気も違って一層美味しいんですよね! 同時に缶ビールも買い求め、クーッと一杯、最高です! 普通なら半額以下のありふれた350ml缶がですよ、1本500円もするのに何のためらいもありません(笑)。
 蛸焼と缶ビール、それだけで私の幸福は、もはや完璧なものとなるのです!



平成29年11月14日(火)

        秋 日 食 卓


 オレンヂ色の 艶も映え

 種無し柿ら 愛でゐむを

 甘さ程良う 笑みゆける

 そこへ座りぬ 是非に食ふ


       おれんちいろの つやもはえ
       たねなしかきら めてゐむを
       あまさほとよう ゑみゆける
       そこへすわりぬ せひにくふ


 冷凍柿、路上の柿、種無し柿と、興が乗って三首続けざまに「柿」の歌となりました。
 先日柿を食べて感じたのは「そういえば、近年は種無し柿が当り前になったよなぁ」ってことです。種が入っている品も当然売られているでしょうが、最近見てない気がします。実際「柿の種」というとすぐに米菓をイメージし、本物の柿の種のほうは二の次でしょう。子供の頃、柿を食べた後に「桃栗三年、柿八年」の諺を想いながら、種を庭に埋めたことを懐かしく思い出します。
 ところで、往年のフォークデュオ・あのねのねに「赤とんぼの唄」(清水国明 作詞) があります。

  柿の種
  柿の種に足をつけたらあぶら虫

 それはよいとして、歌い出しの、

  赤とんぼ
  赤とんぼの羽をとったらあぶら虫

 には、昔から納得がいきませんでした。形が全然似てないじゃないですか! 赤とんぼの羽をとったら……、やっぱり「唐辛子」でしょう! なぜ「あぶら虫」なんだ?!(尚、赤とんぼの羽をとったら可哀想……という道徳の問題は、ここでは取り上げません。)



平成29年11月13日(月)

        鴉 之 仕 業


 枝ごともいで 落つる柿

 実をぞ目にせむ 薄暮やな

 忘られし故 懸念あり

 宵前の路地 寒う居ぬ


       えたこともいて おつるかき
       みをそめにせむ はくほやな
       わすられしゆゑ けねんあり
       よひまへのろち さふうゐぬ


 昨夕、近道の細い路地のほうへ行ったら、足元に柿が一枝落ちていました。小さい実も一つ付いています。ははぁ、カラスの仕業だなぁ、そう思いました。
 実際、多くの実を付けた柿の木が近所に何か所も植わっているし、カラスがその実をくわえて飛んでいるのも見たことがあります。枝ごとついばんで持って行こうとして、途中で落としたに違いありません。
 彼らも餌を見つけるのに必死なのでしょうが、ほんとカラスには困ったもんですね。ゴミ置場は漁るし、まき散らすし、我が家の屋根に空き缶や、マヨネーズのチューブ、食品のパックなんかをご丁寧に並べていくんですからねぇ。ゴミの展覧会じゃないんですよ!
 カラスといえば夕焼け空には欠かせない、風情ある鳥ですし、唱歌「七つの子」のような可愛いイメージもあります。しかし、住宅街ではどうしても害鳥≠フレッテルを貼られてしまいますね……。
 さて上述の柿の実ですが、後刻同じ道を通ったら既に無くなっていました。カラスが再び取りに来たのか、誰か人間が拾って行ったのか判りませんが、いつまでもそこに落ちていると気懸りなので、何だかほっとしました。



平成29年11月11日(土)

        霜 状 果 肉


 熟せる柿よ 悪う成り

 腐敗惧れ 冷やす後

 凍らんを食べ 胸に溶け

 甘さも愛で得 笑みつ居ぬ


       しゆくせるかきよ わろうなり
       ふはいおそれ ひやすのち
       こほらんをたへ むねにとけ
       あまさもめてえ ゑみつゐぬ


 熟れすぎた柿が数個残ってしまいました。手で持つと、指がぶすっと入ってしまいそうなほど軟らかくなっています。食べきれないので捨てるしかないか……、でも食べ物を粗末にしたくないし……、と困っていたのです。
 とりあえず冷凍庫に入れておきました。
 数日経って、昨日、一つ取り出してみたところ……。
 カチンコチンに凍ったのを、皮もむかず庖丁で輪切りにしました。一切れ口に入れると、これがじつに美味しい! 果肉のシャーベットですね!
 もう一切れ食べました。すぐまたもう一切れ。いつの間にか「もう一切れ」が「もう一個」に変わり、あっという間に二個平らげていました。さすがに三個目は思い留まりました(笑)。
 それにしても……。
 最初はこの柿を捨てようとしていたんですよ! ああ、もったいない、もったいない!



平成29年11月10日(金)

        秋 冷 有 明


 寝惚け目ぞ冴え 白薔薇も

 風に揺れたる 町で居ぬ

 花弁の如 薄い月

 青み帯ぶやな 笑む日和


       ねほけめそさえ しろはらも
       かせにゆれたる まちてゐぬ
       くわへんのこと うすいつき
       あをみおふやな ゑむひより


 毎年、伊丹市荒牧にある「荒牧バラ公園」で満開の薔薇を観るのを楽しみにしているのですが、今年は行きそびれてしまいました。その代わりに先日、尼崎市内の「大井戸公園」を仕事帰りに覗いてみたところ、こちらも盛りが過ぎたらしく、赤い薔薇の花がちらほらと残っている程度でした。残念……。
 それはそれとして。今朝は自転車通勤の途中、通りすがりに民家の白薔薇がちらっと目に入りました。花の数は少なかったけれど、朝日に照らされた白い花弁が青空に映え、とても綺麗でした。一瞬にしてその光景が強く印象に残ったので、わざわざ引き返し、ケータイで撮影した次第です。
 これで今日のテーマは決まりました。即座に「しろばら」という仮名が、頭に浮かんで来ます。
 見上げれば薄白い有明の月が、空へ半分溶け入るように出ていました。



平成29年11月8日(水)

        深 味 淡 淡


 葱など盛れり 湯気立ちぬ

 塩ラアメンを 食へば笑む

 スウプ冴えゐつ 己が身に

 悦び湧いて 増せるぞや


       ねきなともれり ゆけたちぬ
       しほらあめんを くへはゑむ
       すうふさえゐつ おのかみに
       よろこひわいて ませるそや


 大阪市北区にある総本店「総大醤」から暖簾分けし、尼崎市武庫之荘本町に本店を構える「塩元帥」は女性に大人気の塩ラーメンのお店です。実際あそこのラーメンが好き≠ニ言う人は、私の身の周りに何人もいて、みんな女性です。あっさりした味わいが、美味しくてヘルシーな印象を与えるからかもしれません。
 私自身はこってり味が好きなので、最初この塩ラーメンを食べた時は、正直言って物足りない感じがしました。そのうえ、いつ行っても行列が出来ているイメージがあり、待つのがたいへんだからと敬遠していたのです。しかし、何回か食べるうちに、あっさりした中にも脳味噌に浸み渡るような味の深さを実感し、是非また食べたいと思うようになりました。
 上品な塩味のスープは透き通った海の底を連想させ、淡白なのに奥深いです。私は生葱の風味が大好きで、ねぎ塩ラーメンをいつも頼みます。
 あ〜〜〜、たまらん! こんな話をすると、また食べたくなってきました!!!
 パブロフの犬です。



平成29年11月6日(月)

        明 明 白 白


 ほつと夜明け 寺参り

 声無く目冴ゆ 胸清みぬ

 陽にぞ映えたる 白い壁

 禅の境地を 我想ふ


       ほつとよあけ てらまゐり
       こゑなくめさゆ むねすみぬ
       ひにそはえたる しろいかへ
       せんのきやうちを われおもふ


 小学館『日本大百科全書』を見ると、「白は、自然な、明るい、軽快な、あっさりした、静的な、美しい、澄んだ、単純な、上品な、といった印象を人々に与える」とあります。また、「白によって象徴されるのは、清潔さ、純潔、新しい、冷たい、真理、永遠などである」とも述べられています。
「冷たい」というのは、白が雪や霜を連想させ、また、彩りがないことから「何もない」「むなしい」印象を受けるせいでしょう。しかし、その「何もない」ということを「汚れがない」「邪心がなく明らかである」というふうに考えると、「清い」「潔い」「正しい」印象になるわけです。
 いずれにせよ、白は最も明るい色であり、どんな色をも受け入れる包容力を備えています。そのため、概ね良い<Cメージで捉えられることが多いようです。
 まぁ、そんな理屈はさておくとして。
 今朝は朝日に照らされた白壁がふと目に入り、その輝かしさに胸のすく思いがしました。気持ちがすうーっと楽になって、一瞬ですが、自分が光と一体化するような感覚を覚えました。ちっぽけな私という存在も、やはり大宇宙の一要素なのですね……。今日も、頑張らねば!
(蛇足ですが、上の画像は「夜明け」でも「寺」でもありません。白壁の際立つ風景がなかなか撮影できず、夕方に近所を回りました。)



平成29年11月5日(日)

        読 経 安 寧


 線香 ぢつと座る前

 煙は細く 揺らめきぬ

 よろしや 鈴の音冴えゐて

 念ひを声に 南無阿彌陀


       せんかうちつと すわるまへ
       けふりはほそく ゆらめきぬ
       よろしやれいの ねさえゐて
       おもひをこゑに なむあみた


 三十五日で法事が一段落し、誰も来ない座敷に独りで座りました。今日は六七日。来週が七七日の四十九日。それまではまだ忌中です。
 渦巻線香の香りと、静かに反響する鈴(りん)の音が、胸に沁み入ります。
 正式な作法は要りません。両手を合わせ、聞き覚えの御経を自分なりに唱えます。
 何事もそうですが、ただ義務感だけで行うのは疲れるばかりです。気持ちさえあればそれでいいのだと、改めて実感しました。心安らかなひとときに感謝の思いが湧きます。
 結局、仏事というのは自分のために、自分の気持ちを鎮めるために行うものなのですね。

   私のお墓の前で 泣かないでください
   そこに私はいません 眠ってなんかいません

 という「千の風になって」(作詞不詳、新井満 訳詞) の歌詞を思い出します。理屈ではなく、全くその通りだと感じます。
 母はきっとあの大きな空を 吹きわたって≠「るのでしょう。
 土筆がいっぱい生えた天上の野辺を、思いのままに吹きわたっているのでしょう。



平成29年11月4日(土)

        香 辛 蕩 飯


 カレエライスを 好むゆゑ

 今朝も味はひ 食べ止まぬ

 多き具熱し とろり煮ん

 嘗めゐて和せる 風味ぞよ


       かれえらいすを このむゆゑ
       けさもあちはひ たへやまぬ
       おほきくねつし とろりにん
       なめゐてわせる ふうみそよ


 私はとにかくカレーライスが大好きです。朝、昼、晩と、毎日食べても飽きないんじゃないか(笑)と思います。実際、朝食はレトルトのカレーが多いです。手っ取り早くて美味しいし、ぴりっとした辛さが「今日も一日頑張るぞ!」という活力を与えてくれるからです。
 そして、最近は新しい食べ方を開発しました!
 黒酢、ウスターソース、タバスコを、あらかじめご飯に振り掛けておき、その上へカレーのルーを掛けるのです。特に、黒酢の酸味と甘みはご飯によく合い、カレーの風味を更に引き立ててくれます。
 ウスターソースはほんの隠し味程度に。あまり入れ過ぎるとソース味になってしまうので、数滴に留めます。それから、辛さはタバスコで調節します。私は辛い物好きなので、鷹の爪を1本刻んでルーの上に散らすこともあります。
 この特製味付け即席カレーを、今朝も美味しくいただきました。華麗なるカレーで加齢を吹き飛ばしましょう!



平成29年11月3日(金)

        小 春 水 畔


 魚泳ぎゐ 亀背干す

 昆陽池訪ね 日も差しぬ

 蝶舞へる館 あれに見え

 ゆらり花咲む 野と路地ぞ


       うをおよきゐ かめせほす
       こやいけたつね ひもさしぬ
       てふまへるくわん あれにみえ
       ゆらりはなゑむ のとろちそ


 文化の日、子供を連れて伊丹の昆陽池公園へ行って来ました。今日は素晴らしい小春日和で(昼過ぎからはやや曇りましたが)、日差しの中では夏かと思うほど暑かったです。
 まず、公園入口の売店で買ったアイスモナカを食べながら(なぜか乾燥の赤唐辛子も売っていたので、それも買いました)、森の気分が味わえる「ふるさと小径」を行きました。子供が木の葉や団栗を拾ったり石に腰掛けたりするので、なかなか前に進めませんが、それもまた楽しいものですね。日常を忘れ、親子ともども不思議の国へ来た気分です。温室内に無数の蝶が舞う「伊丹市昆虫館」も観たかったけれど、そちらは来年3月末まで改修工事のため長期休館と知りました。
 昆陽池に隣接する貯水池では、いつものように鯉が群れ、亀がのんびりと甲羅干しをしていました。貯水池はいかにも人工の池≠サのままですが、後ろを振り向くと昆陽池には自然のまま≠フような風情が感じられ(二つの風景画像を見比べて下さい)、その対比が面白いなぁと改めて感じています。
 路地に沿って歩くと、白い茸、白い山茶花、白い猫、そして池では白鳥や家鴨を見(最初に食べたアイスモナカの中身も真っ白ですね)、思い返せば今回は白≠ェ印象的な散策となりました。



平成29年11月2日(木)

        深 季 一 天


 早も 十一月となり

 改まれる 気をぞ覚え

 天よ広う 夢見据ゑ

 この胸へ風 今朝に居ぬ


       はやもしふいち くわつとなり
       あらたまれる きをそおほえ
       てんよひろう ゆめみすゑ
       このむねへかせ けさにゐぬ


 亡母の四十九日法要が三ヶ月に渡るため、三十五日(十月二十九日)で切り上げになりました。
「四十九(=始終苦)が三月(=身付き)」すなわち「常に苦しみが身に付く」ことを忌み嫌って、二ヶ月以内に納める習わしだそうです。
 正直、ほっとしました。
 法事は気を遣うことばっかりで……、楽しい席ではないのでねぇ……。これでようやく一段落。はぁ〜っと気の抜ける思いです。そのへんの事情は、亡き母も解ってくれると思います。まぁあんまり死ぬ話はしたくないけど、もし自分が死んだら、遺された家族の負担にならないよう密葬にしてもらいたいですねぇ……。
 そして、心機一転、十一月! 秋深き青空を見上げて「深季一天(しんきいってん)」だなぁと感じました。久しぶりに、心置きなく自転車で遠乗りが出来そうです。



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