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出来立て!今日の一首

〜平成二十九年十二月分 の 新いろは歌 中村菜花群〜

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平成29年12月31日(日)

        多 福 結 実


 青澄み渡り 胸も晴る

 ピラカンサ良う 紅や

 路地抜け愛でに 其処へ行き

 笑まふ年の瀬 悦覚ゆ


       あをすみわたり むねもはる
       ひらかんさよう くれなゐや
       ろちぬけめてに そこへいき
       ゑまふとしのせ えつおほゆ


 今日大晦日は曇天でした。お昼前後は青空も見え、良い天気になりかけましたが、午後は小雨がぱらつきました。近所のお寺の前を通ったら除夜の鐘の準備をしている様子でしたが、年越しに雨は似合わないなぁと感じました。まぁ、雨には雨の風情もあるんですけどね。
 ふと、昨日の青天が心に甦ります。そして見た、ピラカンサの実。
 伊丹市野間の民家にそれは見事なピラカンサの木があって、通りすがりにいつも感心しながら拝見しているのです。
 真っ青な空から垂れ下がってくるように、小粒の赤が無数に目に飛び込んで来て、その鮮やかさと実の多さには圧倒されてしまいます。縁起が良いというのか、生命力の豪快さというのか、これだけたくさん結実しているのを見ると、わけもなく嬉しくなってしまいますね。
 ふと、富安風生の俳句「まさをなる空よりしだれざくらかな」を思い出します。季節や木の種類、目に浮かぶ色は違うけれど、まるで空から降ってくるような、この「まさをなる空より……」という感覚は全く同じだと思いました。
 来年も、良い事がありますように。夢よ実れ、幸多かれと願う年の暮れです。



平成29年12月30日(土)

        来 春 之 蕾


 植ゑし木蓮 育ちゐぬ

 枝広げ根伸ぶ 精愛でむ

 見よや小鳥ら 集まるに

 花咲かすべき 和を覚ゆ


       うゑしもくれん そたちゐぬ
       えひろけねのふ せいめてむ
       みよやことりら あつまるに
       はなさかすへき わをおほゆ


 昨日、庭の木蓮の枝に鳥が二羽留まっているのを見、とても嬉しい気持ちになりました(上の画像)。
 寒々とした曇天を背景に、葉の落ち尽くした枝が影絵のように伸びていて、そこに小鳥のシルエットが二つあります。あぁ、我が家の木蓮も小鳥が集うまでに生長したんだなぁ……と。
 この木は数年前に植えたものです。なかなか花が咲かず、咲いてもほんの三つか四つ。満開はまだまだ無理としても、来年こそは白い花々を一つでも多く開いてほしいと願っていました。剪定を控えて小枝を伸ばし、だいぶ蕾が付きそうになっていたところへ、鳥たちの歓迎です。来春は期待出来そうなので、ほんとに喜ばしい限りです。
 木蓮の花も、好いですね。膨らみかけた蕾は西洋蝋燭のように白く大きく、春先になれば、樹全体が巨大な枝付き燭台のように豪華に見えます。それらに火が灯るように花開くと、今度は真っ白い世界です。滑らかな乳白色というのでしょうか。優しい白さに満たされて、メルヘンチックな気分になります。
 そんな季節を思い描きつつ、年の瀬の慌ただしさをしばし忘れ、うっとりと庭の冬木に見とれていました。
 尚、右の画像は今日撮影したものです。裸木の風情が一層感じられる構図を模索しました。
 それとは対照的に、花いっぱいの画像も以下に添えました。これらは数年前、のんびりとサイクリングに出掛けた時に撮影したものです。我が家の木蓮もこのくらい満開になってくれればと思います。

  
尼崎市田能・藻川沿い@           尼崎市田能・藻川沿いA

  
豊中市利倉@                豊中市利倉A 



平成29年12月27日(水)

        旬 彩 逸 品


 棘ある鎧 熱込めゐ

 焼いて蟹味噌 猶温し

 冬の幸盛り 御膳据ゑ

 美味さ和をば得 食べられむ


       とけあるよろひ ねつこめゐ
       やいてかにみそ なほぬくし
       ふゆのさちもり おせんすゑ
       うまさわをはえ たへられむ


 お昼に和食の「かごの屋」塚口店で食事しました。
 期間限定メニューに冬の味覚 うまいもん≠ニして、蟹や牡蠣の料理が並んでいます。まず釜めしとしては、帆立と牡蠣の北海釜めし、牡蠣と九条ねぎの釜めし、かにと牡蠣の贅沢釜めし、ずわいがにたっぷり釜めし、以上四種。逸品としては、カキフライや天ぷら等の揚げ物が並んでいます。メニューの写真を見ているだけで嬉しくなってしまいますね!
 いろいろ目移りした揚げ句、かに牡蠣釜めし膳と、かに味噌甲羅焼きを頼んじゃいました!
 その美食を歌に詠もうとしたわけですが、「かに」も「かき」も同じ「か」が付くので、二つを同時に詠み込めないのが残念です。蟹を「クラブ」、牡蠣を「オイスタア」として外来語に直すという手も考えましたが、和食を英語で言うとかなり違和感があるため、却下しました。
 牡蠣はまた今度(画像だけ、右に添えました)ということにして、とりあえず、かに味噌甲羅焼きの歌です!
 甲羅焼きを表現するのに四苦八苦。歴史的仮名遣いだと、「かに」と「かふら(甲羅)」でまたまた「か」の字が重複するので、甲羅を「棘ある鎧」と表現してみました。出来栄えや如何に。
 それにしてもこの十二月は、蟹のフルコースの歌(絵に描いた餅でしたが……)に始まり、蟹の甲羅焼きの歌で終盤を迎えました。これは鮒に始まり鮒に終わる≠ネらぬ蟹に始まり蟹に終わる≠ナすかねぇ?(自分でも意味わかりません。笑)



平成29年12月26日(火) b

        大 忠 臣 蔵


 黒い闇間へ 風も為す

 四十七の威武 沸ける声

 吉良めを追ひぬ 仇討てり

 無念さ晴れつ 江戸に吠ゆ


       くろいやみまへ かせもなす
       よそしちのゐふ わけるこゑ
       きらめをおひぬ あたうてり
       むねんさはれつ えとにほゆ


 二週間前からサンテレビジョンで、火曜時代劇として『大忠臣蔵』が始まりました。これは、三船敏郎主演、昭和四十六年にNETテレビで放送された時代劇(全五十二回)の再放送です。これから毎週楽しみに、昔の大作を一年に渡って鑑賞しようと意気込んでいます。
 やはり年末は忠臣蔵≠ナすね! そして、四十七士と、いろは四十七文字とは縁が深いものとされていますので、これはやはり一首詠まねばなるまいと思ったわけです。
 といっても、以前にも何度か年末に同じ趣向で新いろは歌を作っていますので、そのうちの一首を最後に添えたいと思います(以下の歌は、平成十年十二月十四日詠)。

   仲間揃へつ 呼び合ふや   なかまそろへつ よひあふや
   胸を煮えさせ 遺恨燃ゆ   むねをにえさせ ゐこんもゆ
   敵奴討ち取り 晴れ渡る   てきめうちとり はれわたる
   笑みぬ 大石内蔵助     ゑみぬおほいし くらのすけ



平成29年12月26日(火) a

        半 世 紀 後


 金栗四三 夢や絶え

 上気せ蹌踉けむ 地に寝ゐぬ

 マラソン逸話 時をも経

 晴れてゴオルす 笑み合ふ日


       かなくりしさう ゆめやたえ
       のほせよろけむ ちにねゐぬ
       まらそんいつわ ときをもへ
       はれてこおるす ゑみあふひ


 昨日職場で、非常に興味深く面白い話を教えてもらいました。私は全く知らなかった事なので、それを聞いて少なからず感動しています。その話とは、
「マラソンの公式世界新記録は2時間2分57秒。では、一番遅い公式記録はどれぐらいか」
 というものです。答えは、なんと!
「54年8か月6日と5時間32分20秒3」
 なんじゃ、そりゃ〜〜〜!! どういうこっちゃ??? と思いました。
 1912年のストックホルム・オリンピックで、日本人の金栗四三(かなぐりしぞう)という人が記録したそうです。金栗選手はレース中に日射病で倒れ、意識が戻ったのは翌日。近所の農家に助けられていたのです。棄権申告も出されないまま、彼の記録は「行方不明」! 月日は流れ、1967年。記録を調べていたオリンピック委員会の粋な計らいで、金栗氏は記念式典に招待され、75歳でゴールテープを切ることができた、とのこと。人生≠感じさせるエピソードですね!
 尚、金栗氏はグリコのマークのモデルの一人でもあるそうです。
 これらの事情を新いろは歌に詠もうとして、ほんとに苦労しました。出来栄えはかなり舌足らずですが……、我ながらよく頑張りました!



平成29年12月24日(日)

        博 多 新 味


 鉢紅や お汁白

 拉麺細手 今日吸ひぬ

 この旨さを得 共に笑み

 胸行き渡る 風呼べり


       はちくれなゐや おつゆしろ
       らあめんほそて けふすひぬ
       このうまさをえ ともにゑみ
       むねいきわたる かせよへり


 昨夕は妻の姉一家と一緒に、皆でラーメン店へ行きました。「一風堂」西宮北口店です。
 一風堂といえば、妻と知り合った頃に梅田店へ行った思い出あり、その日の出来事がしみじみと懐かしく甦って来ます。当時のメモ書きによると……(非常に個人的な内容で、それがどうしたと笑われそうですが)。
 朝九時に阪急武庫之荘駅で待ち合わせ、大阪の天保山公園へ行きました。
 まず大阪文化館で「藤城清治展」を鑑賞し、大いに感動しました。かなり見応えがあったので、二人とも時間を忘れて絵画に見入り、全作品を観終わるまでに三時間ほどもかかりました。
 そのあと大観覧車に乗り(床が透明の特別なゴンドラを待つため、別の列に並びました)、さらに海遊館へも入りました。魚や動物たちが実にのびのびとしていて、とてもゆったりした気分になったところへ、館の外に出ると、辺りはもう薄暗くなっていました。帰りに梅田で食事しようということになり、そこでいよいよ妻のお勧めのお店「一風堂」へ行ったのです!(ラーメンを食べる時に、お水や胡麻や漬物等々、いろいろ世話を焼いてもらいました……。笑)
 その時の味を、昨日、別の店舗で再確認したわけです。そうか、こういう味だったなぁ……と。妻も姉一家も、皆このラーメンが大好きだそうです。もちろん私も、大好きになりました。
 ちなみに右の画像は、思い出の海遊館でその時に撮影したナマケモノです。御愛嬌までに。 



平成29年12月23日(土)

        一 陽 来 復


 冬至の夜越え 重荷捨て

 春へ一歩を 踏み出せり

 空朝明やな 胸広く

 描きゐん夢 我待ちぬ


       とうしのよこえ おもにすて
       はるへいつほを ふみたせり
       そらあさけやな むねひろく
       ゑかきゐんゆめ われまちぬ


 昨日は冬至でした。
《旧暦十一月子の月の中気で、新暦十二月二十二日ごろです。この日、太陽が赤道以南の南半球の最も遠い点に行くため、北半球では太陽の高さが一年中で最も低くなります。そのため昼が一年中で一番短く、夜が一番長くなる極点となります。そしてこの日から一陽来復して徐々に日脚はのびていきます。》
 今年の正月に東大阪の石切神社参道で買った『東京神宮館蔵版 平成二十九年神宮寳暦』から引用しました。
 冬至を迎えるたびに毎年感じるのは、早くも新しい季節への期待と気配です。まだ年も越していないのに、もう春の足音が耳元へ届いて来るように思うのです。
「そうか、明日から一日一日と昼間が長くなってゆくんだなぁ。目には見えないけれど、すぐそこまでやって来た春が、ふところを広げて待っているんだなぁ……!」
 ともかくも、これから日脚がどんどん伸びてゆくというのが嬉しいのです。長い苦労もようやく峠を越え、心の中がいっぺんに明るくなってゆくような気がするのです!
 そんなわけで、冬至を題材に一首詠んでみました。
 ちなみに右の画像は、まさしく冬至の夜です。忘年会帰りに尼崎市内の庄下川沿いの夜景を新庄下橋付近で撮影しました。特に意味はありませんけどね(笑)。



平成29年12月22日(金)

        温 感 療 法


 風邪で眠たし 気も薄れ

 温みを得けん 夜なる居家

 妻とベビイの 笑ふ声

 傍に幸あり 夢朧


       かせてねむたし きもうすれ
       ぬくみをえけん よなるゐや
       つまとへひいの わらふこゑ
       そはにさちあり ゆめおほろ


 昨日は風邪の引きかけでした。喉の奥に違和感を覚え、声が少しかすれるなぁと思ったら、急に疲労感と虚脱感に襲われました。頭が重く、足先が冷たくなり寒気がするので、帰宅してまず風呂で充分に温まります。そしてすぐに用意したのが、一年ぶりの毛布と電気あんかです。暑がりの私は寒さに無防備なので、知らず知らず身体が冷えてしまったのでしょう。こんな晩は、あったかくして早く寝るに限ります。
 食欲がなかったので夕飯を抜き、子供に風邪が移ったら大変と、もう宵の口から布団にもぐりこみました。足が温まって来ると、感じる幸福。あとはただ、眠るだけなのです!
 夢うつつの状態で、リビングのほうから聞こえてくるのが、妻と子供の楽しそうな笑い声。傍に幸あり。そのまますうっと夢の中へ。疲労も忘れ、一夜ぐっすり眠れました。
 おかげで今朝は元気回復。私の実感では、風邪はすでに退散したようです。……ナントカは風邪を引かないといいますからね(笑)。



平成29年12月20日(水)

        果 物 冷 菓


 苺 甘蕉 盛られゐぬ

 雪の白ぞ ヨオグルト

 常に和を成す 美見て誉め

 パフエ鮮やげり 食べ笑まむ


       いちこかんせう もられゐぬ
       ゆきのしろそ よおくると
       つねにわをなす ひみてほめ
       はふえあさやけり たへゑまむ


 昨夕、ありあわせの物で作ったからと言って、妻がデザートを出してくれました。美味しかった!
 お皿の真ん中にアイスクリームを盛って苺を載せ、その周りには小さく切った苺とバナナを並べ、ヨーグルトを掛け、チョコレートの欠片もいくつか添えてあります。で、「これ、なに?」って聞いたら、知らないって!(笑)
 まぁ、パフェでしょうね(「パフェ」と呼んでいいのかな?)。
『日本大百科全書(ニッポニカ)』によると、パフェとは、
《ソフトドリンクの一種。グラスにアイスクリーム、シャーベット、果物、ホイップクリームなどを交互に重ねて入れ、それらの間に甘いソースを流し込み、上部をさらにホイップクリームや果物で飾ったもの。……》
 だそうです。ソフトドリンクの一種? パフェってドリンクなんですかねぇ? 飲み物というより食べ物、どちらかというと菓子(「冷菓」ですよねぇ?)に属すると思うんですが……。いや、ドリンクのグラスに入れるから、やっぱりドリンクなのかな?
 ……少なくとも、昨日のは「ドリンク」ではありません(笑)。

 ※注 「甘蕉(かんしょう)」はバナナの和名です。「実芭蕉(みばしょう)」とも言うそうです。



平成29年12月19日(火)

        即 席 一 品


 その湯沸き入れ 出汁を混ぜ

 カツプラアメン 早も成る

 幸覚え笑み 吸うて食ひ

 胸に溶けゐぬ 悦べり


       そのゆわきいれ たしをませ
       かつふらあめん はやもなる
       さちおほえゑみ すうてくひ
       むねにとけゐぬ よろこへり


 朝ご飯の不足分にカップラーメンを食べたので、それを題材に一首詠んでみました。
 今回は「ま」の字が残ってしまい、完成に手間取りました。その「手間」の「ま」にしようか、あるいはスープの味わいを「胸に浸ませる」の「ま」にしようかと苦心惨憺。最終的に「混ぜ」の「ま」で落ち着きました。
 カップラーメンというのも、時々無性に食べたくなることがありますね。といっても、私は品目にさほどこだわりがありません。新しい商品が次々に開発され、雑多に登場するので、いつもどれを買おうかと迷ってしまいます。でもまぁ定番はやはり日清の「カップヌードル」かなぁ。なんせカップ麺の元祖ですからね。上の画像は七年前に撮ったものなので、何を食べたか正確には覚えていませんが、これはどう見てもカップヌードルでしょう。写り具合が良いので使用しました。
 ちなみに今朝食べたのは(下の画像)、農心の「辛ラーメン カップ」です。辛い物が好きな私のために、妻が買っておいてくれました。スープがあっさりと辛く、ピリッと引き締まった美味しさでした。

  



平成29年12月18日(月)

        手 作 沙 拉


 香良う青添へ パクチイや

 白と黄の円 ゆで玉子

 お皿に盛れる 美味誉めゐぬ

 悦成す今日 胸和せり


       かようあをそへ はくちいや
       しろときのゑん ゆてたまこ
       おさらにもれる ひみほめゐぬ
       えつなすけふ むねわせり


 昨日の朝、妻がパクチーを入れたサラダを作ってくれました。順序から言うと、パクチー味ポテトチップスを食べる前のことです。ポテトの歌を詠んだのだから、サラダのほうも詠んでみようと頭を捻りました。
 ついでにパクチーについても少し調べてみました。
 小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』によると、パクチーはセリ科の一、二年草。ポルトガル語名で「コエンドロ」、英語名で「コリアンダー」、タイ語名で「パクチー」、中国語名で「香菜(シャンツァイ)」。「日本へは10世紀以前に中国から渡来し、江戸時代にはポルトガル人が伝えたので、ポルトガル語のcoentroからコエンドロとよばれるようになったらしい」とのことです。しかし、コエンドロなんて言葉、私は今回初めて知りました。パクチーのほうがわかりやすいですよねぇ。ぱくっと食べる小さい菜で、パクチー、なんてね。
 こんなに名前が多いのは、それだけ各国で親しまれているということでしょう。
 ある時はパクチー、またある時はコエンドロ……、なんだか七つの顔の男≠フ多羅尾伴内みたいですね(笑)。おっと、こりゃあ旧過ぎたかな?



平成29年12月17日(日)

        軽 菓 芳 香


 残らず食べゐ 飽きぞせぬ

 パクチイ風味 ポテトかよ

 我酒に酔ひ 眠るなり

 夢面白や 満悦を


       のこらすたへゐ あきそせぬ
       はくちいふうみ ほてとかよ
       われさけにゑひ ねむるなり
       ゆめおもしろや まんえつを


 カルビーの「ポテトチップス パクチー味」を食べました。袋裏面の説明によると、2017年3月に発売されたパクチー味の4倍の風味が楽しめる、とのこと。私は今回が初めてのパクチーチップス体験、数量限定ということもあって、こりゃ是非賞味しなければと期待していました。
 食べてみると……。なんだ、普通のポテトチップスと変わらないじゃないか、最初はそう思いましたが、噛み締めると口の中に良い香りと味わいが残ります。これは確かにパクチーです! 食べ出したら止まらない!
 それを新いろは歌に詠んでみたわけですが、歌の後半は酔っ払って寝るだけの、ポテトチップスとは何の関係も無い内容になってしまいました(苦笑)。
 実はお昼に、きんのぶた武庫之荘店で豚しゃぶの食べ放題をたらふく味わったので(生ビールもクーッと3杯飲みました)、そのイメージが強すぎたのでしょう。満腹大満足で、家に帰ってから1時間半ほどクーッと寝入ってしまいました(笑)。
 といっても、ただ飲んで食って寝ただけの一日ではありません! 今日はほんとに好いお天気で、青空の下で子供と一緒に遊んだりもしました。その抜けるような空の青さが、今もこの胸に広がっています。日差し照る野外感覚をなおも甦らせつつ、午前中に行った昆陽南公園(伊丹市)のローラースライダーの画像と、午後に行った友行公園(尼崎市)の山茶花の画像を、以下に添えたいと思います(ついでにチップスの袋の中身と、豚しゃぶも!)

  

  



平成29年12月16日(土)

        洋 麺 冬 品


 熱冷めぬ間の 良い味を

 今日嘗むべし パスタぞや

 乳酪とろり 牡蠣和せる

 美味覚えゐて 声漏れん


       ねつさめぬまの よいあちを
       けふなむへし はすたそや
       にゆうらくとろり かきわせる
       ひみおほえゐて こゑもれん


 お昼にジョリーパスタ塚口店で食事しました。
 冬のメニューの「とろ〜りチーズと牡蠣のクリームスープパスタ」というのを注文したところ、これがなかなか美味しかった! 牡蠣も大好きですし、スープは濃厚で味わい深く、パスタは歯切れ良くあっさりしている点がとても好かったです。全体的にさっぱりしていて、しつこくないんですね。そして、充分満足できました。更に、陶器の保温性も良くて料理が冷めにくいので、いつまでも出来立ての熱々感が楽しめました。一口めは、ほんとに熱かった! 「あちち……!」と言いつつ「根性入ってるなぁ!」と、ちょっと感動しました。
 私は口の中を火傷しそうなほど熱いのを、吹いて食べるのが好きなんですね。人間関係でもスープの冷めない距離≠ェ良いわけです。少し冷めてる食事ほど情けないものはありません……。でもまぁ、これはあくまで私の希望であって、出された食べ物はたいてい何でも美味しくいただきますけどね。



平成29年12月15日(金)

        夢 十 二 月


 サンタクロオス 待ちつ子の

 寝て我も笑み 部屋に居ぬ

 点り生る灯ぞ 聖樹映え

 夜青う更け 煌めかむ


       さんたくろおす まちつこの
       ねてわれもゑみ へやにゐぬ
       とほりなるひそ せいしゆはえ
       よあをうふけ きらめかむ


 十二月に入ると、街はどこもクリスマスの装飾でいっぱいですね。
 先週、阪急武庫之荘駅から北西に延びているバス通りを自転車で横切ろうとしたら、道路脇の三角広場の大樹が夕闇の中に輝いていたので、すぐさまケータイで撮影しました。きらびやかな電飾がとても綺麗でした。
 その光景がずっと頭の片隅に残っていたので、それならばと、クリスマスツリーを題材に一首詠んでみました。「クリスマス」の語は「す」の字が重複して使えないから、「聖」の語で言い換えます。クリスマスイブが「聖夜」、クリスマスツリーは「聖樹」、クリスマスケーキが「聖菓」、みな冬の季語ですね。これが「聖火」となると、クリスマスではなくてオリンピックになってしまうんですから、漢字の持つイメージというのは面白いもんですね。
 ところで、今回は「ね」「こ」の字が残ってしまって頭を捻りました。そのまま「ねこ」にしてもよかったのですが、いきなり猫が登場するのも不自然なので、「子」を「寝」させることにしました。ちょうどクリスマスの夜更けが表現でき、ほっと気持ちが落ち着くような歌になったと思います。まぁ、これも結果論ですけどね……。
 ちなみに右の画像は、阪急西宮ガーデンズ、二階メインエントランスに設置された巨大クリスマスツリーです。近くで見ると、かなり迫力がありました。



平成29年12月14日(木)

        歳 寒 一 輪


 尾根薄白よ 遠目にて

 御山枯淡の 風情あり

 僅か雪散る 今朝も冷え

 紅添へむ 薔薇咲みぬ


       をねうすしろよ とほめにて
       おやまこたんの ふせいあり
       わつかゆきちる けさもひえ
       くれなゐそへむ はらゑみぬ


 西高東低の気圧配置とかで、数日来、冬らしい気候となりました。遠く六甲の峰にもうっすらと白いものが積もったように見える朝です。自転車を門の前に停めておいたら、辺りに雪が降った様子もないのに、サドルには小さな雪の結晶がちらほら付いていました(右の画像)。
 この寒い中、庭に小さな紅い薔薇が、一つ二つ花を咲かせています。その鮮やかな色を見て、松田聖子の曲「冬の妖精」(松本隆 作詞) を思い出しました。

   冬に咲く薔薇をあなたにあげるわ
   今朝窓辺で咲いてたの

   恋した心が奇跡を呼ぶのよ
   木枯しの街も
   寒くないはずね
   Ah 10(テン)カラットの微笑(ほほえみ)だけ な・げ・て
   もうじき I love you

 これらのことを思い返し、一首詠んだ次第です。
 今回は珍しく「た」の字が最後まで残ってしまい、完成に手間取りましたが、「枯淡(こたん)」の語を辞書から見つけ出し、どうにかまとめ上げました。結果論ながら、自分としては「遠景」と「近景」、「閑寂」と「華美」、「白」と「紅」等の対比を強調出来た点が良かったと思います。



平成29年12月13日(水)

        冬 晴 散 歩


 北風小僧 嶺を白く

 飛んで参りぬ 冷え覚ゆ

 朝の村よ 我今日も

 紅なす茶梅 笑み愛づる


       きたかせこそう ねをしろく
       とんてまゐりぬ ひえおほゆ
       あさのむらよ われけふも
       へになすちやはい ゑみめつる


 昨日、銀行へ行った帰り道、通りすがりのマンションの前の山茶花がとても綺麗でした。
 その山茶花を新いろは歌に詠もうとしたのですが、「さざんか」の語は「さ」の字が重複するため使用できず、漢名の「茶梅(ちゃばい)」を用いたわけです。「姫椿」という可愛い別名もあるようですが、「北風」と「き」の字が重なるため、使用を避けました。そして出来たのが、以下の歌。

   北風小僧 大空を       きたかせこさう おほそらを
   飛んで参りぬ 嶺白く     とんてまゐりぬ みねしろく
   冷ゆる今日よ 咲むあの枝   ひゆるけふよ ゑむあのえ
   紅なす茶梅 我も愛づ     へになすちやはい われもめつ

 ところが、あとで「小僧」の歴史的仮名遣いの誤りが判明しました。小僧は「こざう」だと勘違いしていましたが、正しくは現代仮名遣いと同じ「こぞう」だったのです。それを修正しようと四苦八苦。「北風小僧(きたかぜこぞう)」の語をどうしても使いたかったので、「そ」の字がかぶる「大空(おほぞら)」のほうを切り捨てました。ほんとは背景として「空」も残したかったんですけどね……。
 修正前と修正後、出来栄えは大差無いですかねぇ?



平成29年12月11日(月)

        惣 菜 麺 麭


 朝寝を今居 湯沸かせり

 日曜ほつと 声漏らす

 レンジで温め 今日の美味

 食べむ 焼そばロオルよな


       あさねをいまゐ ゆわかせり
       にちえうほつと こゑもらす
       れんしてぬくめ けふのひみ
       たへむやきそは ろおるよな


 昨日の朝は、焼そばパンとホットドッグを食べました。どちらかというと、朝食はパンよりご飯のほうを選びたい派なのですが、たまにはこういう食事も好いものです(パンは、食事としてはちょっと物足りない気がするけれど、好きは好きなんですよ!)。
 特に焼そばパンは、それ一つでサービスセット♀エが楽しめる点が良いですね。パン食に、焼そばという別の料理が付いて来るような感覚です。
 例えばこれがカレーパンなら、カレーは単なるパンの具に過ぎないわけです。ホットドッグにおけるソーセージや、ハンバーガーにおけるハンバーグステーキも、私はやはり具≠セと認識します。ところが、焼そばパンの焼そばには、具ではない独立した存在感があるように思うのです。私がそう感じるだけかもしれませんが、不思議に微妙です……。
 ところで、惣菜パンを食べると、妙に学生時代を思い出しますねぇ。休日の朝、目覚めても布団の温もりから離れられず、日が高くなってようやく起き出し、パンなどの簡単な食事で朝昼兼用に済ます……。かつてはそんな怠惰(苦笑)を愉しんだ時期もありました。無論、それは生活習慣の問題であって、「怠惰」と「パン食」とは本来無関係ですけどね(笑)。



平成29年12月9日(土)

        御 宝 団 栗


 西武庫訪ね 飽きもせぬ

 落ち葉や実ら 能う拾ふ

 幼い手へと 夢得ける

 満足の笑顔 居座れり


       にしむこたつね あきもせぬ
       おちはやみら ようひろふ
       をさないてへと ゆめえける
       まんそくのゑかほ ゐすわれり


 尼崎市内にある西武庫公園へ親子三人で行きました。この公園はだいぶ広いので、幼子にとっては思いのままに羽を伸ばせる別天地でしょう。
 到着すると、遠くの蔦紅葉が陽に照らされて非常に鮮やかだったので、さっそく林の方へ向かいました。が、子供は小石や落ち葉や、木の実なんかが大好きですね。地面を見て何かしら拾ってばかりいるので、なかなか先へ進みません。でも、急ぐことはないのです。なにせ、自由なのですから!
 団栗を手に入れて喜ぶ我が子。ほんとに微笑ましい限りです。私も小さい頃は、同じようなことをしていたなぁと。自らが思い描く世界で独り悦に入る、子供にしか解らない濃密な時間……。
 木の実を拾うと思い出すのが、小さな手のひらに ひとつ 古ぼけた木の実 にぎりしめ……≠ニいう童謡「小さな木の実」(海野洋司 作詞) です。私が小学生の時にNHK『みんなのうた』で放送され、学校の音楽の授業でも唄いました。少し淋しい詞とメロディーが胸に沁み入り、郷愁を誘います。
 一時間半ほど遊んだ後、うちの子もしっかりと木の実を握りしめて帰りました。遊び疲れて寝入っても、拾った団栗だけは放しませんでした。
 右の画像が本日の、その大切な収穫物です!



平成29年12月8日(金) b

        水 色 有 明


 夜越え朝笑み 昇れる陽

 胸に迫りぬ 空へ夢

 月薄白く 半ば融け

 天地偉大や 和を想ふ


       よこえあさゑみ のほれるひ
       むねにせまりぬ そらへゆめ
       つきうすしろく なかはとけ
       てんちゐたいや わをおもふ


 一昨日、有明の月が妙に心に残りました。
 薄白い月が水色の西の空へ半分融け入るように懸かっているのを見、そこはかとないもののあはれ≠感じたのです。さらに、じっと見つめていると、月が動いているのが見えるのです! 最初は電線の上にあったのが、徐々に電線へ触れ、下へ下へと蝸牛が這うように動いて行きます。当然の宇宙の運行ながら、いざそれを目の当りにすると、些細な事にも感動してしまいます。
 振り向けば、まぶしい朝陽。偉大なる天地の調和。この情景を歌に詠もうと頭を捻りましたが上手くゆかず、今日まで持ち越しとなったわけです。
 ところで、ケータイで月を撮影するのって難しいですね。小さい光の粒になってしまって、実際目で見るようには映ってくれません。上の画像は今年一月十四日に撮ったものを見つけ出して来て、部分的に拡大表示しました。それでもこの程度ですからねぇ。月の兎は写りませんね。



平成29年12月8日(金) a

        将 来 愉 楽


 後二十年も 経たる夢

 親子で酒を 酌み交はす

 我ら微酔ひ 威勢良う

 注ぎ呑むなり 待ち得ぬぞ


       あとにしふねんも へたるゆめ
       おやこてさけを くみかはす
       われらほろゑひ ゐせいよう
       つきのむなり まちえぬそ


 例のアンパンマンチョコボール≠フ一件以来、さすがは我が子だ、面白い子だという気持ちと愛情が一層強くなりました。そしたら何だか一緒にお酒が飲みたくなりました。ほろ酔い機嫌で、夢や好奇心いっぱいの話がしてみたいなぁ、なんて。
 といっても、二十歳を過ぎるのはまだまだ遠い先のこと。なんて気の早い……(笑)。
 月日の経つのは早いですが、待ち遠しい時って時間が長いですよね。これも、相対性理論かな?(笑)
 いつまでも可愛い幼子のままでいてほしいという気持ちと、早く大人になってほしいという気持ちと、相反する二つの気持ちが、私の中で何の矛盾もなく同居しているんだから不思議ですね。
 ま、あんまり我儘なのは善くないけれど、やっぱり自由にのびのび育ってほしいと願っています。



平成29年12月6日(水)

        元 気 真 盛


 子と手つなぎぬ 能う歩出す

 路地歩めり お店居ん

 選るやそれらの 菓子を買ひ

 今日も跳ね笑む 二歳前


       ことてつなきぬ ようほたす
       ろちあゆめり おみせゐん
       えるやそれらの くわしをかひ
       けふもはねゑむ にさいまへ


 一週間ほど前の宵の口。妻が近所へ買い物に出掛け、家で子供と留守番をしていました。
 うちの子、最初はNHK Eテレ『いないいないばあ!』の録画を観て、きゃあきゃあ言いながら踊っていたのですが……。
 突如として身支度を始めたのです。外出用のズボンを自分で穿き、今度は玄関へ行って靴を履きます。それならちょっと散歩でもするか。そう思って一緒に外へ出ました。車が来たら危ないからと、手をつないで歩いて行くと、私の手を引くようにしてスタスタと先へ進みます。興味があったので、とにかく自由に歩かせました。どこへ行く気なんだろう……。
 着いた先はコンビニです。ドアを開けるとスタスタと中へ入り、商品の棚を見て回り、やがて菓子が並んだ棚の前で足を留めました。いやぁ、参った、参った。どうやら気に入った品が見つかったようです。小さいカゴへ当然のように菓子を入れると、そのまま私の手を引いてレジへ。一歳八か月の子がですよ!  あきれるやら感心するやらで、ともかくもその菓子を買いました。アンパンマンのチョコボールです(笑)。それからまた手を引かれ、ちゃんと家に帰って来ました。
 妻のほうが先に帰宅していて、家に誰もいないのを心配したそうですが、事情を話すと大いにあきれられました。私のほうも、内心笑いが止まりませんでした。



平成29年12月4日(月) b

        一 層 幸 福


 舟に並べる 蛸焼が

 とろり絶品 我笑みぬ

 その旨さを得 お味誉め

 麦酒も良げ 好いて居む


       ふねにならへる たこやきか
       とろりせつひん われゑみぬ
       そのうまさをえ おあちほめ
       はくしゆもよけ すいてゐむ


 昨日、嵐山へ行った時に出店のお好み焼を食べそびれた点が、唯一心残りでした。代わりに、帰宅してから妻が蛸焼を買って来てくれました。なんと、スーパーの缶ビールも一緒に! ずいぶん気が利いているじゃないか!
 十一月十五日の項でも書いたように、蛸焼と缶ビールさえあれば、私の幸福はもはや完璧なものとなるのです! 日頃から三大好物は「カレー」「ラーメン」「牛丼」と自称しているけれど、じつは蛸焼やお好み焼、いわゆる粉物も大好物なのです。ただ、粉物は三度の食事以外の間食≠フイメージが強いため、ふだんは意識に上らないのです。それだけに、思い出したように食べた時の感動は、何年ぶりかで親しい友人と再会できたぐらい、胸を打つのです!
 いやぁ、美味しかった! 是非また逢いましょうね!
 ちなみに上の画像は、買いに行く先の「たこ焼 元祖どないや」伊丹店です。もう九年近くも前に撮影した画像ですけどね。そんな以前から行ってたんだなぁ……。感慨無量。



平成29年12月4日(月) a

        大 木 成 果


 枝葉ら広げて 根肥やせる

 存在示す 楝なり

 多くの実が 付きゐぬと

 余裕を前に 我も笑む


       えたはらひろけて ねこやせる
       そんさいしめす あふちなり
       おほくのみか つきゐぬと
       よゆうをまへに われもゑむ


 三日前。尼崎市南武庫之荘にある大井戸公園へ息抜きに寄った時、一本の大木に注意が行きました。
 青空へ枝葉が網の目のように広がり、地には根っこが大蛇のようにうねっています。黄色い粒の実が鈴生りで、風に吹かれてぽつり、ぽつりと落ちて来ます。その堂々たる繁栄ぶりに恐れ入りつつ太い幹に寄り添うと、「この木なんの木?」と書かれた黄色い札が吊り下げられていました。思わずこの木なんの木 気になる木……≠ニいうCMソング「日立の樹」(伊藤アキラ 作詞) を思い出しましたが、それはさておくとして。
 街路樹として植わっているのも時々見かけるので、確かに何の木だろうと日頃から気になっていたのです。「こたえはウラ」と添書きされたその札を、逸る気持ちでひっくり返しました……!
 答「センダン センダン科」。
 栴檀ですね。自分でも調べてみたところ、センダンは建築材、鎮痛剤、駆虫剤等に利用できるほか、古く獄門のさらし首の木に使われた≠ネどという不吉な解説も『広辞苑』にありました。また、「栴檀は双葉より芳し」の諺にあるセンダンは「白檀(ビャクダン)」の異称とのことで、この木とは別でした。
 このセンダンを新いろは歌に詠むとなると「ん」の字が重複して無理なので、古名の「楝(おうち)」(歴史的仮名遣いで「あふち」) を用いたわけです。まぁそれなりに、大木の存在感が表現できたと思います。

  

  



平成29年12月3日(日) b

        洛 西 遊 覧


 舟へ座れる その櫓漕ぎ

 紅葉愛で笑む 嵐山

 好い温さなり 肌に日と

 風を受けゐん 悦覚ゆ


       ふねへすわれる そのろこき
       もみちめてゑむ あらしやま
       よいぬくさなり はたにひと
       かせをうけゐん えつおほゆ


 親子三人で京都の嵐山へ紅葉を観に行って来ました。
 今日、私が初めて体験したことが二つあり、どちらも乗り物に関する事柄です。
 一つは、ボートを漕いだこと。今まで、ボートに乗ること自体ほとんどありませんでした。オールを操るのって難しいですね。最初は進むのさえままならず、船着き場でモタモタしていました。それでも三〇分ほど練習するうちに、だいぶ進めるようになり、舵を取るのがだんだん面白くなって来たのです。機会があったらまた乗りたいです。
 もう一つは、人力車に乗ったこと。一段高い所から辺りを見下ろしつつ、風を切って進むのが実に快適でした! 親切でおしゃべり上手な俥夫さんの話によると、例年十二月初め頃は嵐山が鮮やかな紅に染まるはずが、今年は台風の時期に葉がほとんど散ってしまい、せっかくの紅葉がなくなってしまったそうです。確かに、今回あまり山が色づいてないなぁと感じていたので、ははぁ、そういう事情だったのかと納得しました。
 まぁ紅葉が少ないのは残念でしたが、今日はほんとに好い天気で暖かく、妻子と楽しい思い出作りが出来ました。帰宅してから思い返すと、なんだか夢のような一日でした。幸せな休日に、感謝!

  

  



平成29年12月3日(日) a

        百 連 閣 果


 ドラゴンフルウツ その紅さ

 割れば白きへ 種散りぬ

 美をも覚ゆや 店居て得

 今すぐ嘗め 好げに笑む


       とらこんふるうつ そのあかさ
       われはしろきへ たねちりぬ
       ひをもおほゆや みせゐてえ
       いますくなめ よけにゑむ


 妻が「ドラゴンボール」を買って来たと言います。
 ドラゴンボール? 何、それ? 格闘漫画のキャラクター商品? それとも、竜の玉のこと? 瑠璃色の小さい実が付く観葉植物? まさか『竹取物語』に出てくる、五色の光を放つという「龍の頸の玉」のこと?
 なんだ、果物か。「ドラゴンボール」とは、妻が面白がってそう言っただけで、ほんとは「ドラゴンフルーツ」のことでした。私は全く初めて見ました。調べてみると、
《ニュージーランド原産のサボテン科の植物に実る果実。ピタヤとも呼ばれる。赤く丸い実を半分に切るとごまのような小さい種子があるがそのまま食べられる。甘く、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ブドウ糖が豊富。》
 と、旺文社の『現代カタカナ語辞典』(電子辞書) に載っていました。
 真っ赤な果実に、竜の鱗みたいな棘様の葉が出ていて、切れば果肉は白(というより灰色)、一面に胡麻のような種が散らばっています。綺麗!
 でも食べてみると、正直言ってあまり美味しくなかった。べつに不味くはないけれど、味が薄いんですね。甘味があまり感じられない。食感は、少し硬めに煮た大根か、軟らかく熟した梨のようです。まぁ栄養があって身体には良いらしいから、それだけ価値があるのでしょうね。
 ――昨夕、初めて食べた果実。私は見た目のほうが、大いに気に入りました。



平成29年12月1日(金)

        甲 殻 三 昧


 贅沢を求め 蟹料理

 様も宜しや フルコオス

 鍋沸き笑みゐ 胸で悦

 湯気ぞ上らん 味はひぬ


       せいたくをとめ かにれうり
       さまもよろしや ふるこおす
       なへわきゑみゐ むねてえつ
       ゆけそのほらん あちはひぬ


 今日から十二月です……!
 いっぺんに年の瀬が迫って来る気がします。慌ただしいですねぇ。
 さて、今朝の朝日放送『おはよう朝日です』では、大阪の「CRAB canni sienne 北新地」というお店を紹介していました。急いでて途中からしか観てないのですが、画面の右肩に目の前で丸ごと1杯を料理 活カニ贅沢フルコース≠ニテロップが出ています。蟹の殻で煮て作る蟹味噌リゾット≠フ映像を目にしただけで、もうたまらなく美味しそうでした!
 でも、北新地でしょ? 高級飲食店街ですよ。そりゃあ味わってみたいけど、結構お高いんでしょうね……。
 指をくわえながら、その贅沢フルコースの歌を詠むことにしました。尚、ここに使用したイメージ画像は、何年か前に食べた蟹料理から適当に見繕ったにすぎません。北新地とは無関係ですので、念のため。

  

  



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