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出来立て!今日の一首

〜平成三十年七月分 の 新いろは歌 中村菜花群〜

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平成30年7月31日(火)

        最 長 寿 木


 世にぞ幾千も 年経ゐる

 竜の血流す 樹誇らむ

 また根生ふや 枝広げつ

 葉青さ愛で 我笑みぬ


       よにそいくせんも としへゐる
       りゆうのちなかす きほこらむ
       またねおふや えひろけつ
       はあをさめて われゑみぬ


 職場の図書室でたまたま手にした本、ニューワイド学研の図鑑『一生の図鑑』(伊藤哲朗 編) 。動植物などの寿命を人間と比較し、豊富なカラー写真によって紹介した楽しい図鑑です。その中に「リュウケツジュ」という植物が出ていました。
《リュウゼツランのなかまで、アフリカ、インドに生えている植物です。6000〜7000年の寿命があるといわれています。》
 えっ? 七千年!? その寿命の長さに驚嘆し、その植物のことをもっと知りたくなったので、他の辞書や事典でも調べてみました。まずは『広辞苑(第六版)』から。

《りゅうけつじゅ【竜血樹】
 (dragon's blood tree) リュウゼツラン科ドラセナ属の常緑高木。カナリア諸島原産。高さ20メートルに達する。最も長寿の樹で、樹齢数千年に及ぶものもある。幹の上端が多数に分岐して剣状の葉を密生。帯緑色の花を穂状に開く。幹から竜の血を連想させる赤褐色の樹脂を分泌。これを麒麟血(きりんけつ)といい、着色剤・防錆材に用いる。》

 ちゃんと載ってるんですねぇ! この解説を参考に、一首詠んだ次第です。
 また、更なる情報を得ようと『ブリタニカ国際大百科事典(小項目電子辞書版)』を見たところ、《樹齢5000〜7000年にもなる長寿の植物で、セコイア、セイタカユーカリとともに世界三大巨樹といわれる》こと、《直径5m以上》に達すること、《花は長さ1cmほどの緑色の長い筒状花が多数集って円錐状の花序をつくり、液果は丸く橙色である》こと、《太平洋諸島では墓場を飾る木として使われる》等々の説明がありました。
 実に興味深く面白い樹ですねぇ! 今日初めて知った植物のことが、なんだかとても好きになりました。
 尚、上のリュウケツジュの画像は『学研の図鑑LIVE 植物 DVD付』(樋口正信 監修) の掲載写真をケータイで撮影し引用させていただきました。



平成30年7月30日(月)

        麺 小 丼 膳


 山と盛る蕎麦 葱香り

 汁風味得て 我食べゐ

 御膳笑む味 飯に猶

 鮭イクラ載す 悦びぬ


       やまともるそは ねきかをり
       つゆふうみえて われたへゐ
       おせんゑむあち めしになほ
       さけいくらのす よろこひぬ


 七月に入ってから、蕎麦をよく食べました。やはり夏は冷たいお蕎麦が好いですね!
 今回の歌に詠んだのが、一昨日行った「海鮮和食 魚盛」阪急西宮ガーデンズ店の選べる丼と麺のお膳≠ナす。ざるそばを食べようとメニューを見たら、週末限定で麺とミニ丼がセットになった御膳があるというので、私はサーモンいくら丼を頼みました。丼には卓上の醤油をかけたのですが、その醤油がご飯に浸みて、とても風味が良かったです。大好物のイクラは、一粒々々ダイヤモンドのように大切にいただきました。蕎麦もしっかりとした噛み応えがあり、あっさりして美味しかったです。食べ始めは量的に少し物足りないかなと感じましたが、御膳を全部食べ終わって、充分満足できました。選べるミニ丼は他に、ばらチラシ丼、葱とろシラス丼、鰻とろろ丼があったようです。

 今月はその他にも、いろいろな蕎麦のお店に行きました。
 まずは定番の「阪急そば」武庫之荘店。五月三十日の項でも述べた通り、私はここのカツ丼定食が大好きです。仕事帰りに気軽に寄れるし、冷やしそばの涼味と玉子の絡んだカツ丼の味に、安心と満足を得られます。
 次は、休日に家族で行った「太鼓亭」伊丹中野店。この日は天ぷらが食べたくなり、ざるそばと天丼の定食を頼みました。蕎麦の味は言うことなし! 天ぷらも衣がカリッとしていて期待通りの美味しさで、是非また食べに来たいと思いました。
 そして、阪急武庫之荘駅からまっすぐ南下したバス路沿い左手にある「そばや 楽」。ここは、仕事が一段落した時に職場の仲間と一緒に行きました。こぢんまりとした、お洒落な蕎麦屋さんです。ご主人が一人で経営しているご様子で、お店は大忙し、蕎麦は手作り感あふれる職人の味≠ナした。麦とろ飯も、記憶に残る美味しさでした。
 もう一軒は、大阪駅へ新幹線のチケットを買いに行った後、まさしく家族で食事した「家族亭」梅田阪急三番街店です。三宝そば≠ニいうのを頼んだら、うどんと見紛う白い麺の盛られた椀が三つ出て来て、海苔がけ、胡麻がけ、カツオがけの、三つの味が楽しめるようになっています。この贅沢感が良いのでしょう。三食分いっぺんに平らげたような、豪快な気分を味わいました。
 以上、もともと蕎麦好きな私ですが、最近ますますハマっています。家でも夕食に乾麺を茹でてもらってますからね!

  
阪急そば                  太鼓亭   

  
そばや 楽                  家族亭   



平成30年7月29日(日)

        童 心 冒 険


 子と手を繋ぎ お散歩す

 夕闇迫る 田居も抜け

 我ら笑むぞ 路地くねり

 家の灯明う 夜目に映えし


       ことてをつなき おさんほす
       ゆふやみせまる たゐもぬけ
       われらゑむそ ろちくねり
       いへのひあかう よめにはえし


 昨夕、妻が美容院へ行っている間、子供と二人で散歩しました。最初は近くのコンビニへ。駄菓子を一つ買って帰って来たと思ったら、しばらくしてまた「散歩するの!」と言うのです。うちの子も好きですね。
「今度はどっち行く? さっきと違うほうに行こうか?」
 そう尋ね、子供の好きなように歩かせました。私の手を引っ張って、元気にどんどん進んで行きます。また別の店で駄菓子をねだられるかと覚悟していたのですが、夕闇迫る田圃沿いの道を、元気にすたすたと歩いてゆきます。店も何もない、薄暗がりの道です。どこへ行く気なのだろう……。興味があったので、引かれるままに従いました。
 やがてバス通りへ出、通りすがりのバス停の前で止まり、バスに乗ると言い出します。二歳の子供が、夜の暗がりにどこへ出掛けるというのでしょう。いろいろ聞いてみたところ、どうやら神戸のアンパンマンミュージアムへ行きたいらしいのです。さすがにそれは無理でしょう!
「今日はもう遅いから、アンパンマンはお休みやん。また今度、お昼に行こう」
 そう言って、思い留まらせました。
 幼児にしたら大冒険≠ナすよ! 何だか私自身が未知の世界へ踏み込んだような気持ちになって、胸がドキドキ、ハラハラしました。その後も帰る方向とは逆へ進み、結局家から一キロぐらい歩いたでしょうね。宵闇の武庫之荘公園へ入り、滑り台やブランコでしばらく遊びました。
「ママもう帰ってるよ! ママが心配するから、そろそろ家に帰ろうか」
 遊び足りない様子の我が子を促し、帰途に就かせました。帰りは案の定「抱っこ!」です(重かった〜〜〜!)。家が近づくと、自分から歩くと言い出し、また並んで手をつなぎました。幼児にとっての一キロは、大人にとっての十キロぐらいの感覚じゃないかな? ほんとに今日は大冒険≠セったなぁと、改めてそう思います。好奇心というのは、面白いものですね。



平成30年7月28日(土)

        心 之 四 月


 線路を渡り 駅へ行く

 列車待ちぬ 空愛で得

 スヰトピイ好げ 赤さ咲み

 猶この胸に 春想ふ


       せんろをわたり えきへゆく
       れつしやまちぬ そらめてう
       すゐとひいよけ あかさゑみ
       なほこのむねに はるおもふ


 西武庫公園へ行ってしばらくしたら、肌にぽつりと冷たい雨滴を何度か感じました。こりゃあ雨に降られたかな、そう思った時、松田聖子の歌「赤いスイートピー」(作詞:松本隆/作曲:呉田軽穂) の一節が浮かんで来たのです。

   四月の雨に降られて駅のベンチで二人
   他に人影もなくて不意に気まずくなる

   何故 あなたが時計をチラッと見るたび
   泣きそうな気分になるの?

 歌詞とは季節も状況も違いますが、この歌を題材に一首詠んでみようと考えました。
「あか」「すゐとぴい」「えき」……と単語を拾ってゆくうちに、本歌とは徐々に内容が違ってしまいましたが、春の駅という場面設定だけは変えずに済みました。
 でもスイートピーって、いつ咲くのでしょう? 気になったので少し調べました。小学館『日本大百科全書』によると、
《品種により夏咲き、春咲き、冬咲きがあるが、日本でスイートピーといえば一般には温室で栽培される冬咲き種をさす。夏咲き種はもっとも古くから作出された系統で耐寒・耐暑性が強い。》
《10月に播種(はしゅ)すると、翌年5〜6月に開花する。》
《春咲き種は冬咲き種と夏咲き種の中間の性質があり、初夏の鉢物や花壇に利用される。暖地の戸外では4月下旬から咲き始める。》
 とありました。「赤いスイートピー」の歌に出て来るのは春咲き種≠ナ暖地の戸外≠ニいうことになりそうです(歌詞では「四月」の段階で「線路の脇のつぼみは 赤いスイートピー」となっています。もうすぐ咲くということで、時期的にぴったりですね)。
 私が撮影した上の画像は五月二十六日のものなので、これは夏咲き種≠ニいうことになるのかな? 俳句ではスイートピーは、春の季語になっています。
 ちなみに、スイートピーの花言葉は「別離・門出・思い出」だそうです。『花ことばミニ事典』(中山草司 著、大泉書店) に、
《花ことばの別離≠ヘ、蝶に似ている花が舞い立つように見えることから生まれました。門出≠ニもいうように、悲しい別離ではないにしても、ラブコールのための花束にはならない花です。》
 とのことです。送別会の花束にはちょうど良いのでしょう。



平成30年7月27日(金)

        健 診 空 腹


 血や尿検査 終へゐるぞ

 飯も抜きゆゑ 大慌て

 カレエライスの 店に飛ぶ

 食はむ真夏 悦びたり


       ちやねうけんさ をへゐるそ
       めしもぬきゆゑ おほあわて
       かれえらいすの みせにとふ
       くはむまなつ よろこひたり


 年に一度の健康診断で、尼崎の「市民健康開発センター ハーティ21」へ行って来ました!
 これも一つの大きな仕事≠ナすよ! 検査のために朝は当然絶食、水も飲んではいけないとの注意書きです。厳しいですねぇ(普通、水ぐらいは飲んでいいんじゃないのかな?)。とにかくお腹が減り過ぎて目が回ってしまいました……。
 お恥ずかしながら、私は中性脂肪の数値が高くて、毎年ひっかかるんですよネ。それでもう十数年来、月に一度の病院通いです。といっても、以前から身体そのものはとても元気だし、ほとんど病気らしい病気をしたことがありません。万病の元と言われる、風邪さえ滅多にひきません(馬鹿は風邪をひかない!がモットーです)。ただ、血液がねぇ……(苦笑)。
 はっきり言って、超異常でした(超常現象≠ニか?)。今からちょうど二十年前、平成十年三月十八日の血液検査で、中性脂肪(TG)の数値が〔3,745mg/dl〕だったんですよ! 基準値が〔30〜149mg/dl〕とのことなので、その二十五倍以上あるということです。超人的記録でしょう? ここまで行ったら笑うしかないですよ。いつ死んでもおかしくない数値だと言われ、なんだか夢のような、他人事のような気がしていました。べつに体調が悪いわけもなく、ごく普通に生活してるんですけどねぇ。それから現在に至るまで、毎日薬を服用し、出来る範囲で自分なりに節制も続けています。
 近年ようやく中性脂肪の数値が正常より少し多い程度(200mg/dlぐらい)に落ち着いています。私もどうやら真っ当な人間になれるということですね?(笑) 今年の結果はどうかな? 正常の範囲内に収まってたらいいんですけどね!
「早く人間になりた〜〜〜い!!」(妖怪人間の心境です)
 午前十一時半。あ〜〜〜、もう腹減りきってダメだ……!
 とりあえず健康診断が済んだので、カツカレーでも食べに行こうかなと!!(大笑)。



平成30年7月26日(木)

        一 面 真 赤


 茜さす天 わつと声

 夕焼よろし 燃え立ちぬ

 居る店の前 目を奪ひ

 大空に向く 綺麗なり


       あかねさすてん わつとこゑ
       ゆふやけよろし もえたちぬ
       ゐるみせのまへ めをうはひ
       おほそらにむく きれいなり


 昨日、燃えるような夕焼けを見ました!
「万代」伊丹野間店で買い物をして十九時十九分にレジを終え、店の外に出ようとしたら、ガラス越しに見える外の風景がやたらと赤いんですね。オーバーかもしれないけれど、学生時代に使った受験用の、赤い透明の下敷き、あの下敷きで透かし見た風景のような印象を受けたのです。
 うわぁ〜と感嘆の声を上げ、慌てて外へ飛び出しました。こんなに真っ赤な夕焼けは見たことがない、というのがその時の率直な感想です。まさに燃えるような空の赤さに感動し、素晴らしい……、素晴らしい……、と何度も独り言を漏らしていました。即座にケータイで撮影したところ、わりとそのままの赤さで写ってくれたので好かったです。空の色はすぐに褪せてしまいますからね……。
 ところで、空の赤さを表現する時に、少し迷いました。色を表す言葉というのは、かなり多いですね。小学館『色の手帖』(尚学図書・言語研究所 編) によると、赤系の色だけでも、七十四の名が挙がっています。一般に真っ赤≠ニ同義で使えそうなのは「紅色(べにいろ)」「紅・呉藍(くれない)」「韓紅・唐紅(からくれない)」「深紅・真紅(しんこう・しんく)」「茜色(あかねいろ)」「薔薇色(ばらいろ)」、やや黄味を帯びると「緋色(ひいろ)」「朱色(しゅいろ)」「丹(に・たん)」などがあります。本書には色の見本がカラーで示されているので、非常に分かりやすいですが、それでも色の多さに圧倒されてしまいます。それらを見比べても、たとえばどれが「紅」でどれが「茜色」なのか、その違いを一瞬で見極めるのは困難でしょう。
 また、実際の色と、想像している色とが異なる場合もあります。「薔薇色」は薄い赤をイメージしますが、本書では「あざやかな赤」との説明がありました。「べに色」と「くれない」はどちらも「紅」で同じじゃないか、と思ってしまいますが、「くれない」のほうは、やや濃い、またはくすんだ色を言うそうです。
 色の世界も、実に奥深いものですね……!



平成30年7月25日(水)

        涼 感 一 膳


 丼中へ 置く簀子

 蒸籠に見立て 蕎麦盛らむ

 汁冷え葱を 味良げや

 笑める我居ぬ 美味さ欲し


       とんふりなかへ おくすのこ
       せいろにみたて そはもらむ
       つゆひえねきを あちよけや
       ゑめるわれゐぬ うまさほし


 二日後に健康診断があるので、ここ数日は腹八分目を心掛けています。いわゆる泥棒を捕らえて縄を綯う≠ナすね(苦笑)。まぁ何もしないよりはマシだろうと、最後の悪足掻きをしているわけです。それで、お昼も笊蕎麦(ざるそば)にしました(ちなみに上の画像は、阪急そば武庫之荘店の「ざるそば 大盛」です)。
 小学館『食の医学館 体に効く食品を全網羅』(本多京子、根本幸夫、伊田喜光、田口進 監修) によると、蕎麦にはリジン、トリプトファン、ルチンなどの成分が多く含まれ、《動脈硬化を予防する健康食品として注目》されている、とのことです。
 おもな働きとしては、《コレステロールを低下させる》《血圧降下作用》《腸の働きを活発にする》《毛細血管を強化する》《膵臓機能を活性化する》とあり、動脈硬化症・大動脈瘤、高血圧症、便秘、虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病などの予防と抑制、記憶力の向上にも有用だそうです。
 さらに、《そばを食べる際に注目したいのは、薬味の存在。薬味はそばの効能を引きだす役割もになっているのです。》として、刻んだネギに含まれるアリシンが蕎麦のビタミンB1の吸収を高めること、ワサビに含まれるシニグリンが代謝を高め、冷えを改善するので、冷たい蕎麦との組み合わせが理に適っていること、また、ルチンやビタミン群は水に溶けやすいため、ゆでた汁を蕎麦湯として飲むと良いことなどが指摘されています。
 ネギ、ワサビ、蕎麦湯――。昔の人は、それらの効用を体験的に知っていたということですよねぇ! 難しい栄養素の名前は知らなくても、体に良いことを長年にわたって実行していたわけですよ。歴史の積み重ねというのは、やはり為になるんだなぁ、面白いもんだなぁと、改めてそう感じました。
 私はもともと笊蕎麦が大好きですからねぇ! 健康のためにも、ご飯代わりに、これからもっともっと食べようっと!



平成30年7月24日(火)

        苦 椒 醤 添


 そよ風覚ゆ さつぱりと

 白冷麺を 食べゐぬる

 コク旨み等も 葱に和す

 冷えて笑むやな 今日の味


       そよかせおほゆ さつはりと
       しろれいめんを たへゐぬる
       こくうまみらも ねきにわす
       ひえてゑむやな けふのあち


 親戚の子も来ていたので、昨夕はガストで食事しようということになりました。子供が二人になると、いつも以上に賑やかですね。お子様セットに付いている、アンパンマンのジグソーパズルで遊びながら、仲良くしてくれて何よりでした。
 さて、私が注文したのは「コクと旨みのさっぱり白冷麺+ミニ牛カルビご飯セット」(税抜899円) です。暑い時季にはやはりピリッと辛いものが食べたくなりますね。白冷麺は、腰が強く噛み応えがあって、噛めば噛むほどクセになるなと思いました。その名の通り、スープはさっぱり≠ニした辛さで、冷たくて、とても美味しく爽やかにいただきました。コチュジャン(苦椒醤)が添えられているので、更に辛みを増すことも出来ます。ミニ牛カルビご飯も程良い甘辛さで、食欲をそそりました。まさに夏にぴったりのメニューです。
 これを新いろは歌に詠もうとしたところ、わりとすんなり言葉が整いました。「しろれいめん」「さつぱり」「こく」「うまみ」「ひえ」「ねぎ」「あぢ」と、ここまで単語を拾っても、全く仮名が重ならないのです! 「ゑむ」は常套手段です。涼しさを表現しようと「そよかぜ」の語も考えました。あとはもう勢いですね。三十分とかからず今日の一首≠ェ仕上がりました。仮名が全部収まった時、猛暑を一瞬忘れるような清々しさを覚え、気持ち好かったです!
 ではまた明日、頑張ります!!



平成30年7月23日(月)

        納 涼 夏 祭


 暑さ忘れ得 面白や

 浴衣に団扇 盆踊り

 招く声ぞ 出店へ来

 麦酒ら嘗め呑む 今日夜居ぬ


       あつさわすれえ おもしろや
       ゆかたにうちは ほんをとり
       まねくこゑそ てみせへき
       ひいるらなめのむ けふよゐぬ


 一昨日七月二十一日夕刻、伊丹市立笹原小学校で行われた「笹原まつり」の盆踊り大会を見に行って来ました。
 毎年の行事ではあるものの、学校が夏休みに入った途端にもう盆踊り≠ネのか、というのが驚きでした。だって、まだお盆≠カゃないですからねぇ。『角川俳句大歳時記』で「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を引くと《都市では陽暦で行うところが多い》と出ているので、それはつまり、伊丹市も都市≠セということでしょうか……!
 さて、盆踊りの由来について、もう一度確認しようと思いました。小学館『日本大百科全書』には、
《祖霊、精霊を慰め、死者の世界にふたたび送り返すことを主眼とし、村落共同体の老若男女が盆踊り唄にのって集団で踊る。》
《古く日本人は旧暦の正月と7月は他界のものが来臨するときと考えた。正月は「ホトホト」「カセドリ」などいわゆる小正月の訪問者がこの世を祝福に訪れ、7月は祖霊が訪れるものとした。盆棚で祖霊を歓待したのち、無縁の精霊にもすそ分けの施しをし、子孫やこの世の人とともに楽しく踊ってあの世に帰ってもらうのである。こうした日本固有の精霊観に、仏教の盂蘭盆会が習合してり強固な年中行事に成長した。》
 とありました。この楽しく踊って≠ニいうところが好いですね。堅苦しい儀式ではなく、あの世の霊とこの世の人が一緒になって楽しめばいいのです!
 出店のビールをクーッと飲み、夕空に連なった提灯に浪漫を感じ、涼しい風に身を任せ、歌と太鼓の響きに自ずから調子づく。これこそが盆踊りです!
 歌は、やっぱり「炭坑節」! 福岡県の民謡が、どうしてこんなに盆踊りに合うんでしょうね!



平成30年7月22日(日)

        奇 怪 生 物


 アノマロカリス 刺連ね

 餌得て食みぬ 恐るべし

 太古化石 非凡やな

 地に埋もれゐむ 夢を呼ぶ


       あのまろかりす とけつらね
       ゑさえてはみぬ おそるへし
       たいこくわせき ひほんやな
       ちにうもれゐむ ゆめをよふ


 アノマロカリス? なんじゃそりゃぁぁぁぁぁ!? って感じですよね。でも『広辞苑(第六版)』にはちゃんと載っていたので、驚きました。
《アノマロカリス【Anomalocaris(ラテン)】
 バージェス動物群やチェンジャン動物群を代表する化石種の一つ。既知の門に分類できないとされる。カンブリア紀としては最大級の捕食動物で、浅海に生息した。体長約0.6〜1メートル。》
 このアノマロカリス≠ノ興味を持ったきっかけは、病院の待合席で本棚にあった一冊の本を偶然手にしたからです。その本、小学館『ドラえもん・ふしぎ探検シリーズN 海底大探検』(藤子・F・不二雄 著) の中に、古代生物が紹介されていました(右の画像)。
《1909年、カナダのロッキー山脈で発見された化石から復元。5億3000万年前に生きていた。体長60センチほどで、キバのように伸びたしょく手で、えものをつかまえ、食べていた!》
 説明はこれだけです。もっと知りたくなった私は、後日、書店へ飛びました。講談社ブルーバックス『カラー図解 古生物たちのふしぎな世界 繁栄と絶滅の古生代3億年史』(土屋健 著、田中源吾 協力) という本を発見し、購入。そこに詳しい説明がありました!

《アノマロカリス類は、節足動物に分類される動物グループで、「アノマロカリス」の属名をもつ種は複数存在する。このうち、最も知名度が高いのは、カナダの地層から化石がみつかっている「アノマロカリス・カナデンシス(Anomalocaris canadensis)」だろう。
 アノマロカリス・カナデンシスは、全長約1メートル。三葉虫類をはじめ、この時代のほとんどの動物が全長10センチメートルに満たなかったことを考えると、その大きさは異様ともいえる。この全長比は、たとえばヒトの身長に対するJR在来線の1車両ほどの長さに相当する。
 トレードマークは二つの大きな触手だ。これを専門的には「大付属肢」と呼ぶ。アノマロカリス・カナデンシスの大付属肢は、その内側に鋭いトゲが並んでいる。その大付属肢は頭部につながり、頭部にはよく発達した眼が左右にのびる軸の先にそれぞれ一つずつついている。そして、からだの両サイドには少なくとも11対のひれがならぶ。また、頭部の底には円形の口があり、そこには鋭い突起が並んでいた。
 こうした特徴から、アノマロカリス・カナデンシスは、カンブリア紀世界における「最強種」との呼び声が高い。あなたが街を歩いていたら、山手線の車両が大きな触手を生やして襲ってくるようなものである。「勝てる」と思う方がどうかしている……かもしれない。》

 本書のカバー(冒頭の画像)にも登場するアノマロカリス! こんな生物が襲って来たら、確かに怖いですよね!(何せ山手線車両≠ナすからね!)
 まさか、こいつの歌を詠むことになろうとは……(笑)。



平成30年7月21日(土)

        夏 味 一 番


 青い空晴れ 澄み渡り

 昼寝も覚め この夕べ

 炎暑に鰻 鮪とて

 お茶漬せむ 笑顔居ぬ


       あをいそらはれ すみわたり
       ひるねもさめ このゆふへ
       えんしよにうなき まくろとて
       おちやつけせむ ゑかほゐぬ


 昨日お預けになった鰻重を、お昼に家族で食べに行って来ました!
 といっても、何も特別なお店ではありません。日頃よく行く「吉野家」です! これまでに私が味わった中では、吉野家の鰻重が一番安くて美味しいと思います。一枚盛790円、二枚盛1,190円、三枚盛でも1,690円ですからねぇ。私はいつも二枚盛に留めますが(笑)、充分に満足できます。それに、どこの鰻よりも身が柔らかくふわっとしていて、タレの味がトロッと浸み、なんともいえず旨いです! 何年か前、鰻の専門店でフルコースを味わったことがありますが、身が少し硬いなぁと感じました。そして値段が高い分、結局はどこか物足りない期待外れ≠ノ終わってしまうのです。その点、庶民的で味も良い吉野家は、やはり最高だと思いますよ!!
 というわけで、鰻重の歌を作ろうとしていたら……。実は、夕食も鰻だったのです。買い置きの蒲焼に、マグロ、山芋、お新香を添えて、あっさりとお茶漬けでいただきました。それが今日の一首≠ニなった次第です。
 ところで、平成元年に放送されたTBS系時代劇『翔んでる!平賀源内』の第十三話に「本日土用丑の日」(葉村彰子 原案、田口耕三 脚本、金鐘守 監督) というのがあり、昨年の再放送を録画していたので、改めて鑑賞し直しました。その中に、西田敏行演ずる源内が、老中田沼意次に鰻の蒲焼を勧めるシーンがあります。
「鰻にはエレキがございまする。暑さにて食が衰え、体力の落ちたる時、一口この鰻を食すれば千人力の活力を生みまする」
 藤岡琢也演ずる田沼は「こんな下賤の食い物を……」と文句を言いつつ、結構旨そうに食べる様が可笑しかったです。世間でも「江戸の名物がまた一つ増えた」と評判になり、「一口召せば暑気払い、二口めには夜の目が利く特効薬、三つ食べれば病知らず」と、瓦版屋の売り口上も楽しく軽やかでした。



平成30年7月20日(金)

        土 用 丑 日


 夏負けせず 美味ゆゑの

 蒲焼を恋ふ 胸燃えゐん

 味王座ぞと タレ塗らる

 大いに宜し 愛で食へり


       なつまけせす ひみゆゑの
       かはやきをこふ むねもえゐん
       あちわうさそと たれぬらる
       おほいによろし めてくへり


 本日は「土用の丑の日」と聞きました。こりゃもう、ぜひ鰻≠ナしょう!
 しかし残念ながら、今日はいろいろ慌ただしかったので、鰻はひとまずお預けでした。それで、雑用の合間に、せめて蒲焼の歌でも詠んで気分転換を図ろうと考えました。まぁ、鰻丼は逃げませんからね。明日でも明後日でも、お店でゆったりと味わいたいものです!(尚、上の画像は四年前のものです)
 ところで、なぜ「丑の日」なのでしょう?(土用は十八日間あるのにねぇ???)
 暑い時季に精の付くものを食べようという意図は解るのですが、「牛」と「鰻」とどんな関係があるのでしょうか。気になったので、少し調べてみました。小学館『日本大百科全書』で「丑の日」の項を見ると、
《夏の土用の丑の日(7月20日ごろ)にウナギ、うどんなど「う」の字のつくものを食べると、夏やせしないなどの俗信はいまも広く行われている。》
 とあります。なるほど、「うし」と「うなぎ」で「う」の字が共通するわけか。しかし、それなら「卯(う)の日」「午(うま)の日」もあるじゃないか、そう思いつつ先を読むと……。
 九州北部で田の神を祀る「丑の日節供」などの例が挙げられ、「丑の日」が持つそもそもの意味について、次のような説明がありました。
《農作業の開始に先だって田の神を祀り、秋の収穫が終わったときも感謝の祭りをするということで、春に山の神が田に下りて田の神になり、秋には山に帰って山の神になるという全国的な伝承と一連のものである。西日本では農耕に牛を使うことが多かったから、その反映もあろう。》
 あぁ、そうか! つまり、日本人はやはり農耕民族≠セということですね。田を耕してくれる牛≠大切に思うから、春や秋の丑の日に祭りを行い、夏の土用にも同じ「う」の付く鰻を食べて縁起を担いだのでしょう! これで、ようやく納得しました。



平成30年7月19日(木)

        自 由 課 題


 朝起きて良し 夢を得に

 少年の頃 夏休み

 雲湧ける空 向日葵と

 大地へ触れむ 笑顔居ぬ


       あさおきてよし ゆめをえに
       せうねんのころ なつやすみ
       くもわけるそら ひまはりと
       たいちへふれむ ゑかほゐぬ


 うだるような暑さの中で、事務作業をしなければならない。そんな時に思い出すのが次の一句です。

   算術の少年しのび泣けり夏   西東三鬼

 誰にでも覚えがあるでしょう。夏休みの宿題に追われ、考えても考えても解らない問題を、何ページも解かなければならない。早く終えてしまいたい、でも、全然終わらない……。悪夢ですね。
 これは大人になっても同じです。私なぞは書類と聞くだけで嫌になります。税金の申告とか、市役所へ何かを届け出るとか、書類、書類、書類です! 実際、夜寝ている時にもそんな夢を見たことがあります。焦って焦って、冷や汗をかいて、目が覚めてあぁ、夢でよかった……≠ニ。トラウマですかねぇ?
 先の俳句は、作者自身の苦い経験を詠んだものとばかり思っていました。ところが、桜楓社『俳句辞典 鑑賞』(松尾靖秋、堀切実、楠本憲吉、伊吹一 編) によると、
《『三鬼百句』の自注で「愚息は父に似て数学的頭脳を持ってゐない。宿題が出来ないで一人シクヽヽ泣く。それは哀れであるし、父から見れば気の毒でもあった。」というように、この句は長男(当時七歳)の実際の姿を扱いながら、「少年」と客観化したものである。》
 とのことです。しかし、単に息子を哀れんでいるだけの句ではありませんね。解説にある、
《「算術」という言葉は父親の共感を負ったものとして発せられ、それが「少年」と一般化されることによって、多くの大人(男)たちの少年時代への郷愁へとつながっていくのである。》
 との考察、全くその通りでしょう。夏の暑さが一層重々しく感じられる一句です。
 いやいや、夏休みは楽しいものでしょう!
 真っ青な空に入道雲。ジリジリと震える蝉の声。向日葵が揺れ、どこまでも続く一筋の道。何かを求め、胸を躍らせ、まるで宝探しのように、興味あるものを追い続ける。陽射しが心の襞へ沁み、うっとりするような輝きの中で、時間を忘れて今日という日の意味≠見つけ出す……!
 そんなひと夏≠過ごしたいものです。



平成30年7月18日(水)

        浮 浮 宵 涼


 絶えず汗ばむ 昼をも経

 夕餉後にぞ 我ら今

 三日月白う 絵と愛でゐ

 散歩くねりぬ 親子よな


       たえすあせはむ ひるをもへ
       ゆふけのちにそ われらいま
       みかつきしろう ゑとめてゐ
       さんほくねりぬ おやこよな


「次の英文を日本語に訳しなさい。
  You might think, but today's hot fish.」

 よく知られている英語なぞなぞですが、今の時季、ついつい思い出してしまいます。ご存知でしょうか? 一応答えを言うと……。
「You might」が「ユー マイト」。「think, but」「today's」はそのまま訳します。「hot fish」は「暑(あつッ!)、魚(さかな)」。つまり、「言うまいと思えど今日の暑さかな」という古川柳を、発音と意味をごちゃまぜに無理やり英文にしているわけです。くだらないけど面白いですね(笑)。
 それにしても、あ〜〜〜、暑い暑い! まるでオーブンで焼かれるような強烈な陽射しを肌に感じ、ほんとにホットな毎日です。
 しかし日が落ちると割合に涼しく、暗くなるのも遅いので、夕食後に散歩がてら近所のドラッグストアへ行くのが、ちょっとした息抜きになります。親子三人手をつなぎ、夕風の道を歩くと、二歳の子供も大はしゃぎです。通りすがりの住宅の門前に灯るイルミネーションの人形に、「プーさん、こんにちは!」「ミッキーさん、さようなら!」などと、いつも元気に挨拶しています。他所の人形に出会うのが、一つの楽しみとなったようです。
 ところで三日前の夕方は、西の空に白く細い三日月が懸かっていました。それを見てうちの子は、
「お月さま、バナナみたい!」
 と言ったのです。幼児にしてはなかなか詩人≠セなぁ、と感心した次第です。まぁ、親馬鹿ですなぁ(笑)。



平成30年7月17日(火)

        本 陣 惨 劇


 思はぬ罠 身刳られ

 焦り転ぶか 今朝血染め

 水車 琴の音 日本刀

 雪積む夜を経 冷えて居る


       おもはぬわな みゑくられ
       あせりまろふか けさちそめ
       すいしやことのね にほんたう
       ゆきつむよをへ ひえてゐる


《僕、金田一耕助です。
 山陽道に臨む旧本陣・一柳家に奇っ怪な殺人事件が勃発しました。婚礼の夜、当主・一柳賢蔵氏と、その新妻・克子さんが血の海の中に発見され、しかも犯人は、雪に囲まれた離れの建物から、足跡一つ残さず煙のように消えていたのです。
 僕はこの密室殺人事件の謎を追い続けましたが、犯人と目される三本指の男の出没に、捜査陣は終始振り回され通しでした。僕は、被害者の弟・三郎さんを有力な共犯者としてマークしていましたが、事件の真相は依然として深い霧に包まれたままです。
 そして、その夜――。》

 TBS系「横溝正史シリーズ」の第二弾『本陣殺人事件』で、古谷一行演ずる金田一耕助が語る事件概要です。放送当時、私は子供心にも密室殺人≠フ謎に強い興味を感じました。
 そして、番組オリジナルの登場人物、長門勇演ずるところの、とぼけた味わいのある日和勇(ひより いさむ)警部≠ノも親しみを覚えました。この警部、岡山県警から後に警視庁へ異動、次の『三つ首塔』の事件で金田一と再会します。
「この度なぁ、本庁捜査一課勤務を拝命したんじゃ。まぁ言うなれば、やっと腕認められて栄転≠「うやつですかなぁ。いやいや、東京行ったらきっとあんたに会えると思うたんじゃ」
 と、本人は大はしゃぎでした。ところが、その後いろいろと矛盾点が……。
 番組中のテロップでは、『本陣殺人事件』が起きたのが「昭和二十三年 初春」。警部はそこで初めて金田一と出会うわけですが、後々放送された『悪魔が来りて笛を吹く』の天銀堂事件(「昭和二十二年一月十五日」発生)や、『黒猫亭事件』(「昭和二十二年 晩秋」発生) で、すでに警視庁警部として東京で捜査に当たっており、金田一とも旧知の間柄の様子なんですよ!
 まぁ脚本家がそれぞれ違うため、細かな矛盾が出て来るのはしかたのないことですが……、これはいわゆる時をかける警部≠チてことでしょうか?(笑)



平成30年7月16日(月)

        龍 乃 顎 迄


 八つ墓村へ 招き寄せ

 黄金の沙汰 美と畏怖を

 地底巡れり 行けるにも

 末見えぬ穴 歩恐ろし


       やつはかむらへ まねきよせ
       わうこんのさた ひとゐふを
       ちていめくれり ゆけるにも
       すゑみえぬあな ほおそろし


 洋泉社MOOK「映画秘宝EX 金田一耕助映像読本」によると、横溝正史の『八つ墓村』は横溝作品最多の9回の映像化をほこる″品とのことです。片岡知恵蔵(1951年 東映映画)、金内吉男(1969年 NETテレビ)、渥美清(1977年 松竹映画)、古谷一行(1978年・1991年 TBSテレビ)、片岡鶴太郎(1995年 フジテレビ)、豊川悦司(1996年 東宝映画)、稲垣吾郎(2004年 フジテレビ)、以上七名が八つ墓村での金田一耕助を演じました。
 最も旧い知恵蔵版『八つ墓村』はフィルムの存在が確認できないとのことで、残念ながら観ることは叶いませんが、金内吉男版、片岡鶴太郎版、稲垣吾郎版などがソフト化されたら嬉しいのになぁ〜! と願う次第です。
 古谷一行版は、大ファンなので、繰り返し何度も観ましたねぇ! 冒頭のナレーションが今もこの耳に残っています。

《八つ墓村――。
 その奇怪な名の村は、現在日本中の地図を探しても、どこにも見当たらない。
 言い伝えによれば、中国山脈の山襞深く分け入った所、この刑部川の流域に、かつてそういう名称の村が存在していたという。
 その八つ墓村がどうして消滅してしまったのか、誰も知る由がない。
 だが、この村に関わる奇怪で異様な伝説は、今も尚、人々の記憶の中にはっきり痕跡を留めている――。》

 鈴木瑞穂のこの語りを聞くと、すうーっと作中世界へ吸い込まれてしまいます。連続殺人の恐怖、八つ墓の怨念、愛憎劇、鍾乳洞に繰り広げられる怪奇浪漫……。
『八つ墓村』を初めとする横溝正史シリーズU≠フ主題歌「あざみの如く棘あれば」(阿久悠 作詞、茶木みやこ作曲・歌) も、心に浸みました。



平成30年7月15日(日)

        佐 清 之 影


 遺産争ひ 罠に堕ち

 呪はれてをる 犬神家

 ゴムマスク吠え 恐怖ゆゑ

 閨へ戻り 背冷たし


       ゐさんあらそひ わなにおち
       のろはれてをる いぬかみけ
       こむますくほえ きようふゆゑ
       ねやへもとり せつめたし


 横溝正史の小説『犬神家の一族』を題材に、一首詠んでみました。なぜこの時期に???
 それには理由が三つあります。
 まず一つ目は、昨日の『獄門島』から他の横溝作品を連想したという、ごく自然な理由です。
 二つ目は、東宝系公開の映画『バッテリー』(滝田洋二郎 監督作品、原作 あさのあつこ) のDVDを先日鑑賞したこと。最初は意識していなかったのですが、エンドロールを見てこれって角川映画なんだなぁ≠ニ気づき、そこから角川春樹事務所の記念すべき第一作『犬神家の一族』(市川崑 監督作品) へと思いが及んだからです。
 そして三つ目の理由は……。
 昨夜、風呂上りに妻がスキンケアのシートパックを顏に貼っているのを見たからです! あっ、仮面の男スケキヨ≠ウんだ!! と思いました(笑)。
 それはともかくとして。懐かしいですねぇ、『犬神家の一族』! 私は映画より先にテレビドラマで観ました。ご存知でしょうが、古谷一行が金田一耕助を演じて大ヒットした「横溝正史シリーズ」です! その幕開けとなった『犬神家……』は昭和五十二年四月に全五回で放送され、以来私は金田一シリーズの大ファンになりました。
 あの頃はビデオレコーダーなんて無かったですからねぇ。土曜の夜は、まさしくテレビに釘付けでした。七時『まんが日本昔ばなし』、七時半『クイズダービー』、八時『8時だョ!全員集合』、九時『Gメン'75』、そして十時、『犬神家の一族』を初めとする「横溝正史シリーズ」! なんと、連続四時間もテレビを観ていたんですねぇ(なんと、全部TBS系!)。これこそがゴールデンタイム≠ナす。今みたいに録画しておくわけにはいかないので、見逃したら最後です。一週間がもう待ち遠しくて待ち遠しくて……。それこそ食い入るように観ましたね。
 思えば、ほんとに平和な少年時代でした。



平成30年7月14日(土)

        橙 赤 漏 斗


 凌霄花 くねる木へ

 咲む花多さ 朱に目立ち

 忘れ得ぬ色 好げ見ゐて

 小鳥も舞ひ 遊ぶをや


       のうせんかつら くねるきへ
       ゑむはなおほさ しゆにめたち
       わすれえぬいろ よけみゐて
       ことりもまひ あそふをや


 通りすがりにノウゼンカズラの花が目に留まりました。
『花ことばミニ事典』(中山草司 著、大泉書店) によると、漢字の「凌霄花」は中国名をそのまま使ったものだそうで《霄はそら≠フ意味で、天をも凌ぐ花、すなわち、気根を出してどこまでもよじのぼっていく姿を表現したもの》とか。「気根」は地上の幹や茎から伸びて、空気中に露出している根≠フことですが、なんだか困難などに耐える気力・根気≠フ意味にも受け取れそうですね(天をも凌ぐ≠けですから)。花言葉は女性∞名誉=Bまた、
《のうぜんかずらの花の柱頭(めしべの先端)には、おもしろい性質があり、開花しているときには上下に開いていますが、ちょっとでも触れると一瞬にして閉じてしまいます。まるで貞操を守ろうとする女性のようです。》
 との説明もありました。いつも遠く眺めているばかりの花でしたが、機会があったら今度実験してみようかな(!)。
 さて、私がこの「ノウゼンカズラ」という植物名を知ったのは、中学二年の時でした。知る人ぞ知る、横溝正史の小説『獄門島』に出て来るんですね!(以下、角川文庫『獄門島』より引用)

《「ぼくたち、月代さんとぼくが手紙をやりとりするときは、いつも愛染かつらの幹に入れておくんです。その幹に、小さいうつろがありまして、そこへ手紙を入れておくことにしているんです」
「愛染かつら?」
 一同は思わず眼をみはった。耕助はうれしそうにがりがり頭をかきまわしながら、
「それはまた、ロマンチックなことですね。しかし、愛染かつらなんて木が実際にあるんですか」
 鵜飼はまたちょっと赧(あか)くなった。
「ぼく、よく知りません。ひとにきくとそれはのうぜんかつらだというんですが、月代さんは愛染かつらだといってきかないんです。このつづら折れの、下の谷のやぶのなかにその木があるんです。七月ごろ、赤い、かわいい花が咲きますので、月代さんは、この木にちかいを立てておくと、仕合わせが来るといって――」》

 川口松太郎の恋愛小説『愛染かつら』と、ノウゼンカズラの木! 当時私は愛染かつら≠よく知りませんでしたが、子供心にアイデアの利いた命名だなぁ≠ニ感じ入ったことを、今懐かしく思い出します。



平成30年7月13日(金)

        柔 和 氷 菓


 熱気を覚え 公園居

 出店も立ちぬ かの甘さ

 ソフトクリイム 白に冷ゆ

 我は好げ嘗め 休らへる


       ねつきをおほえ こうゑんゐ
       てみせもたちぬ かのあまさ
       そふとくりいむ しろにひゆ
       われはよけなめ やすらへる


 大阪舞洲ゆり園でソフトクリームを食べたことを、ふと思い出し、一首詠んでみました(上の画像は単なるイメージで、ゆり園とは無関係です)。
 小学館『日本大百科全書』で「ソフトクリーム」の語を調べると、
《ソフトアイスクリーム soft ice cream の略称で、ハードアイスクリーム hard ice cream に対する呼称。ソフトクリームは半流動状のもので、材料的にはほとんど変わりはない。》
 とあります。そこで今度は「アイスクリーム」を見ると、次のような解説が出ていました。
《アイスクリームの原形は、昔、氷室の雪や氷に、酒類、蜜、果汁や果肉などを混ぜてつくった冷たい飲み物》
《それが16世紀ごろからイタリアで、氷に寒剤(チリ硝石または食塩などの氷点降下剤)を混ぜて凍結させる方法が考案されて普及した。その後フランスに渡り、しだいにヨーロッパの上流社会の食卓のデザートになったが、その過程で、従来の酒類や果汁などを主原料にしたものに、乳成分を主とするものが現れ、シャーベットとアイスクリームに分化して発展した。》
 なるほどね。
『角川俳句大歳時記』の「アイスクリーム」の項に《イタリア生まれのフランス育ち》と出ていたのは、そういうことだったのかと納得しました。《明治二年(一八六九)に初めて日本で売られた》とのことです。ソフトクリームの句としては、

   ソフトクリーム舐めて見てゐる地獄絵図  奥村せいち

 が挙がっていました。これは恐らく焦熱地獄≠フ絵でしょうね。アイスの甘さ・冷たさと、地獄の厳しさ・熱さという相反するものを対比させながら、ソフトクリームと身を焼く火焔とが同じように渦巻いている点が、非常に面白いなと思いました。



平成30年7月12日(木)

        炎 暑 喧 噪


 鳴かぬ樹あらず 蝉時雨

 広場の枝で 声沸けり

 今地面さへ 燃ゆる様

 世を熱被ふ 外に居む


       なかぬきあらす せみしくれ
       ひろはのえたて こゑわけり
       いまちめんさへ もゆるやう
       よをねつおほふ そとにゐむ


 今朝、通勤途中に公園の側を通りかかったら、降るような鳴き声に圧倒されてしまいました。これはまさしく蝉時雨≠ナす! ついこのあいだ初鳴きを聞いたばかりだと思っていたのに、今や大合唱ですね。小学館『日本大百科全書』には、
《種によって、出現時期が決まっているのと同じように、1日のうちで鳴く時間帯(日周期)もだいたい決まっている。ヒグラシは夕方と明け方、クマゼミは朝に、アブラゼミやニイニイゼミもとくに夕方によく鳴く。》
 とありますが、近年は朝からアブラゼミがジージージリジリ鳴く始末で、暑さを一層掻き立てられます。
 さらに、出現時期の解説を読むと、
《日本では、セミは夏の昆虫とのイメージが強いが、なかには春や秋に出現するものがあり、2〜12月にはどこかでセミの声が聞かれる。》
 というから驚くじゃありませんか。イワサキクサゼミは早くて二月上旬、オガサワラゼミは十二月三十日に声が確認されたこともある、とのこと。蝉が鳴かないのは、一月だけなんですねぇ! でもまぁ、沖縄や小笠原諸島なら亜熱帯ですから、冬に蝉が鳴いても不思議はありませんね(なんだかイソップ物語の「アリとセミ」を思い出しました)。
 本土で鳴き始める蝉は、四月上旬(南九州では三月末)のハルゼミに始まり……、
「ハルゼミ」→「エゾハルゼミ」→「ヒメハルゼミ」→「ヒグラシ」→「ニイニイゼミ」→「コエゾゼミ」→「アブラゼミ」(真夏) →「クマゼミ」→「エゾゼミ」→「アカエゾゼミ」(八月後半) →「ミンミンゼミ」→「ツクツクボウシ」→「チッチゼミ」(九月中頃)
 と、順を追って鳴くそうです。 九州の対馬には秋冷の十月下旬にチョウセンケナガニイニイが鳴く、との説明もありました。
 でも私が見て判るのは、せいぜいアブラゼミとクマゼミぐらいです。ミンミンゼミもヒグラシも、ツクツクボウシにしても、声はよく聴きますが、眼前にその姿を見たことがありません。こうして蝉の名前だけを並べても、さっぱりイメージが湧かないですね……(苦笑)。



平成30年7月11日(水)

        夢 第 七 夜


 船より飛びぬ 闇で吠え

 下手に落ち行き 末あらぬ

 脆さ 破滅迫れるを

 哀し 無限の後悔ぞ


       ふねよりとひぬ やみてほえ
       へたにおちゆき すゑあらぬ
       もろさはめつ せまれるを
       かなしむけんの こうくわいそ


 六月二十三日〜二十五日の項で述べた夏目漱石の短編「夢十夜」のことを、またもや思い出しました。今回は第七夜≠ナす。
 これはやはり言葉遊びがモチーフでしょう! 物語の締め括りの言葉を、次に挙げてみます(新潮文庫『文鳥・夢十夜』より引用)。

《そのうち船は例の通り黒い煙を吐いて、通り過ぎてしまった。自分は何処へ行くんだか判らない船でも、やっぱり乗っている方がよかったと始めて悟りながら、しかもその悟りを利用することが出来ずに、無限の後悔と恐怖とを抱いて黒い波の方へ静かに落ちて行った。》

 この無限の後悔≠ニいう表現です!
自分≠ヘ夢の中で《何処へ行くんだか分らない》《何時陸へ上がれる事か分らない》船に乗っているのです。いつ果てるとも知れぬ海の旅です。この航海≠ェラストの後悔≠ニ呼応していることは、まず間違いないでしょう!

《自分は益(ますます)つまらなくなった。とうとう死ぬ事に決心した。それである晩、あたりに人の居ない時分、思い切って海の中へ飛び込んだ。ところが――》

 そして後悔≠永遠に感じ続けることになるわけです。夢の中とはいえ、やはり自殺はいけませんね――。
 ここで私は急に、丹波哲郎 企画・脚本・総指揮の映画『大霊界3』を思い出しました(夏目漱石とは何の関係もありませんが……)。ラストの解説で丹波氏はこう述べています。

《皆さん、もう一つ。どんなに素晴らしい世界に行こうとしても、早く行こう、すなわち自殺をするなどとはとんでもないことですね。これは権利の放棄、義務の放棄ということですから、向こうへ行ってきっちりと罰せられます。我々は明るく素直に温かく、この世の中を生きてゆくということが、もう何よりですね。その上もう一つ、このごろ私は付け加えました。どういうことか。
 生きることは面白い。健康こそ一番幸福だ。そして、and... いいですか?
 死ぬのが楽しみだ――。》

 まぁ、霊界があるとかないとか、信じる信じないは別として、私自身は非常に良い言葉だなぁと感じ入り、最近特に、繰り返し繰り返し聞いています。



平成30年7月10日(火)

        熱 帯 夢 想


 蕊ら黄色に 花の赤

 より目立ち咲む 仏桑華

 扇子揺るごと 招くぞや

 美をも覚えて 我観ゐぬ


       しへらきいろに はなのあか
       よりめたちゑむ ふつさうけ
       せんすゆること まねくそや
       ひをもおほえて われみゐぬ


 通りすがりにあちこちで、真っ赤な大輪の花が目に留まる季節となりました。今日などはまるで八月のような青天に燃える赤が映え、熱帯を想わせる太陽がぎらつきました。南国情緒漂う花、ハイビスカス。好いですね!
『花ことばミニ事典』(中山草司 著、大泉書店) によると、別名「仏桑花(ぶっそうげ)、菩薩花(ぼさつばな)、琉球木槿(りゅうきゅうむくげ)」、花言葉は「私はあなたを信じます・新しい美しさ」だそうです。《疑うことを知らない、若く明るい女性の心を象徴しています》ともありました。また、
《ハイビスカスは一日花ですが、日当たりのよい庭なら次々につぼみを付けて咲きつづけます。鉢植えの場合も、五〜十月の間は直射日光の当たる戸外で育てることが大切で、室内に飾っておくとつぼみが付かなくなります。ハイビスカスの鉢植えをプレゼントするときは、このことを必ずメッセージに書き加えておきたいものです。》
 とのことでした。私も夏のかんかん照りには、無性に外へ出たくなります。花も人間も同じでしょう。直射日光の当たる戸外≠アそが、生きる元気を生むのです! やはり、クーラーの利いた部屋の中にばかり居てはダメですね!
 小学館『日本大百科全書』を見ると、
《日本には仏桑華(ぶっそうげ)の名で、まず琉球に伝わり、1614年(慶長19)薩摩藩主島津家久はマツリカとともに琉球産の仏桑華を徳川家康に献上した。》
 との解説がありました。江戸時代の初め頃からすでに日本で育てられていた、というのが驚きです。



平成30年7月9日(月)

        祝 梅 雨 明


 蝉声増えて また夏や

 気持ちよろし 缶ビイル

 青抜け透り 胸晴れゐ

 お空の上に 夢探す


       せみこゑふえて またなつや
       きもちよろし くわんひいる
       あをぬけとほり むねはれゐ
       おそらのうへに ゆめさかす


 今日、九州北部、中国、近畿、東海、北陸の各地方の梅雨明けが発表されました。
 近畿地方は昨年より4日、平年より12日早いそうです。今年は桜の開花も、バラや百合の見頃も早かったし、やはり季節が十日ほど早く進んでいるなぁと思いました。しかし、あの数日間の大雨を乗り越えて来た後では、やっと梅雨が明けたのか……≠ニいうのが正直な感想です。
 真っ青に晴れ渡った空、むくむくと盛り上がる白い入道雲を見ると、あぁ、夏だなぁ!≠ニいう歓びが胸に満ちて来ます。ビールの美味しい季節の到来です!
 缶ビールの絵柄も、夏らしく花火です。キンキンに冷やしてプシュッと開ければ、すぐにも喉が鳴るでしょう! 青空に高々と持ち上げて、乾杯!! ……ゴクリ。プハァァァッ!
 あるいは、まだ陽射しの強い夕方に、提灯の並ぶ屋上ビアガーデンなんか、最高ですね! 西日に照り映える街を見下ろしながら、親しい顔が並び、盛大に飲むぞ! みたいな?
 好いですねぇ……! じりじり暑い日中の夢です。
 昔、暑中見舞い用の市販の絵葉書を、つい衝動買いしてしまったことがあります。そこにはジョッキに白い泡の盛り上がった生ビールの写真が出ていて、次のような言葉が添えてありました。
「この一杯のために、生きているんだなぁ……」
 この気持ち、解るなぁ〜!(笑)



平成30年7月8日(日)

        元 気 盛 盛


 焼肉食んで スタミナ得

 力と威勢 喜ぶぞ

 勇を持つべし 我胸の

 大雨去りぬ 笑まひける


       やきにくはんて すたみなえ
       ちからとゐせい よろこふそ
       ゆうをもつへし われむねの
       おほあめさりぬ ゑまひける


 今日は妻のお姉さん一家と一緒に「すたみな太郎」武庫川店へ行き、お昼を御馳走になりました!
 ここのお店はバイキング形式で、好きな物を好きなだけ自由に取って来て食べられるのが好いですね! 焼肉が中心ですが、お寿司、ご飯、カレー、うどん、ラーメン、やきそば、スパゲティ、たこやき、唐揚げ、ポテトフライ、キムチ、枝豆、サラダ、スープ、スイーツ、アイス、一通りのものは揃っているようなので、嬉しい限りです。
 焼肉を充分に味わった後、カレー好きの私は辛口のブラックカレーをいただきました。黄色いターメリックライス(ウコンの香辛料を入れて炊き上げたご飯)にルーをたっぷり掛ければ、もう満面の笑顔です。他に、スタローカレー、バターチキンカレーというのもあったのですが……、ほんとに満腹したので、今回は遠慮しました(笑)。
 食後、心地好い余韻に浸りつつ外へ出ると、真っ青な空に白いペンキを塗りたくったような、雲の博覧会が見られました。入道雲にちぎれ雲、薄雲、筋雲、まだらの雲……。賑やかな夏の始まりです!



平成30年7月7日(土)

        淡 白 深 旨


 豚骨塩 中華そば

 お葱盛られ 愛で笑むを

 威勢良げ食べ 吸ふ美味の

 円やかなるに 冴えありぬ


       とんこつしほ ちゆうくわそは
       おねきもられ めてゑむを
       ゐせいよけたへ すふひみの
       まろやかなるに さえありぬ


 ラーメン横綱阪急武庫之荘店に、期間限定で「豚骨塩らーめん」が登場!
 二年前にここのお店がオープンした時は、豚骨しょうゆ、豚骨みそ、豚骨塩、三種類のラーメンがあったのですが、なぜか豚骨塩はすぐになくなってしまいました。オーダーが少なかったのか、材料の問題なのか、理由は存じません。好きだったのに残念だなぁ、と感じていました。それが、数日前に復活したことを知ったのです! 今度はゆで玉子も入って、七百五十円です(以前は玉子なしで六百五十円でした)。店の前の幟を見た途端、すうっと店内へ吸い込まれてしまいました(笑)。そして今日は三回目。家族と一緒にお昼ごはんです。
 あっさりしているのに、深い味わいのスープが堪えられません!! ミルクのように円やかな口当りの中に、キリッとした塩の冴えがあります。テーブルに置いてあるニンニクとうがらしの薬味を入れると、辛さ自由自在。このピリッとした旨味、まさにヤミツキになりますね。もちろん、刻み葱も入れ放題! 麺を食べてしまったら、残った汁に葱をいっぱい入れ、葱スープとしていただきます。最後の一滴まで飲み尽くし、後味を愉しみつつ悦に入ります。もう大満足です! 食後、放心状態になれるお店は滅多にありませんからね……。いつもは豚骨みそを好んで食べるのですが、期間限定の今は、やはり塩でしょう!
 お店を出る時にレジで、子供には玩具を頂戴しました。聴診器や調剤スプーンなどが入ったドクターセットです。帰宅するとすぐに私は患者≠ノなり、座椅子にもたれかかりました。子供はすっかり医師≠ナす。聴診器を操りながら「は〜い、寝て下さ〜い。では、測っときましょうね〜」などとやっていました(笑)。



平成30年7月6日(金)

        築 港 登 頂


 低さ一位よ 天保の

 尾根あらぬ山 面白き

 そこへ座れり 今日笑むと

 花に風得つ 夢見たる


       ひくさいちゐよ てんほうの
       をねあらぬやま おもしろき
       そこへすわれり けふゑむと
       はなにかせえつ ゆめみたる


 昨日の雑談で「天保山」の名が出たので、それを題材に一首詠んでみました。
 私が天保山の登頂に成功(笑)したのは、平成二十三年五月二十一日のことです。いやぁ、苦労しました。尼崎の自宅からサイクリングではるばるやって来て、目指す山頂がなかなか見つからなかったのです! 天保山は山≠ニいうより普通の海辺の公園≠ナすからねぇ。頂上がどこなのかをさんざん探し回り、ようやくその表示板を発見した時は嬉しかったです! 大観覧車にも乗りました。ソフトクリームも食べました。あとはまた延々自転車で帰るだけです。でも、それが楽しいんですよ! あれからもう七年も経つんですね……。
 その時に見た案内板の「公園説明」を、参考までに、以下に記しておきます。

   公園説明
   天保山公園は、日本一低い山(国土地理院指定2等三角点)
   のある公園として、またウォーターフロント開発のメッカ
   として親しまれている。この天保山は、天保2年(1831)
   から翌年にかけて安治川浚渫工事(天保のかわざらえ)が
   行われた際、排出された土砂が積み上げられて出来た山で、
   当時入舟の目印となったことから目印山ともよばれた。
   往時は山上や水辺からの眺めが抜群で、桜や松が植えら
   れ、灯籠や桟敷が設けられるなど、大阪近郊の新名所と
   して、人気を博した。現在は、標高4.53mの日本一低い
   山としてその姿をとどめている。
   (天保山公園:昭和33年1月1日開園 面積20.319u)

  

  



平成30年7月5日(木)

        朝 土 砂 降


 植木枝揺り その前に

 水威勢良く 地を流る

 村も大雨 ずぶ濡れで

 転け泥跳ねん 侘しさや


       うゑきえたゆり そのまへに
       みつゐせいよく ちをなかる
       むらもおほあめ すふぬれて
       こけとろはねん わひしさや


 今朝は大雨の中を出勤しました。八時五分、職場に到着した時点で、靴の中まで水浸しです。歩くとクチャクチャ音がして、革の縫い目から白い泡が噴き出します。頭髪はぐっしょり濡れ、ズボンも膝から下はベトベトです。羽織るだけの雨合羽など、何の意味もありません。ビニール傘を打つ雨の音は、まるでデンデン太鼓でした。
 昨日のうちに台風は消え去ったというのに、今日は土砂降りか……。
 十時二十分、尼崎市にも大雨警報が発令されました。
「尼崎市は警報出るの、遅かったですね。隣の西宮市や大阪市は、七時半頃出てたでしょう?」
「ええ。警報は、山のある地域から先に発令されてるみたいですよ」
「ああ、土砂崩れを警戒する意味ですね。でも、大阪市は、山はないでしょう?」
「ありますよ。天保山が」
「なるほど……。確かに天保山も、山ですね。標高四メートルぐらいしかないけど……」
 そんな話をしていました。
 ともかくも、各地に被害が無いことを祈ります。



平成30年7月4日(水)

        猛 威 来 襲


 黒い天へぞ 風豪う

 また激しさに 声を呑む

 雨大粒や 濡れ鼠

 居る人弱り 気持ち萎ゆ


       くろいてんへそ かせえらう
       またはけしさに こゑをのむ
       あめおほつふや ぬれねすみ
       ゐるひとよわり きもちなゆ


 梅雨時に台風が接近中と聞き、こりゃあ雨台風≠フ土砂降りになるかと心配していたのですが、日本気象協会の発表によると、
「6月29日午前9時、日本の南で発生した台風7号プラピルーン≠ヘ、7月4日午後3時に、日本海で温帯低気圧に変わりました」
 とのことなので、ひとまず安心しました。
 新いろは歌に詠んだような事態は避けられ、濡れ鼠≠ノならずに済みました……!

 ちなみに、上記「プラピルーン」とはタイ語で雨の神≠フことだそうですね。気象庁のホームページを見ると、
《台風には従来、米国が英語名(人名)を付けていましたが、北西太平洋または南シナ海で発生する台風防災に関する各国の政府間組織である台風委員会(日本含む14カ国等が加盟)は、平成12年(2000年)から、北西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風には同領域内で用いられている固有の名前(加盟国などが提案した名前)を付けることになりました。》
 との説明があり、あらかじめ決められた百四十個の名前が出ていました。これを順々に使用し、最後まで行ったら、また最初に戻るとのこと。日本が提案した名前はみな、星座にちなんだものばかりです。「テンビン」「ヤギ」「ウサギ」「カジキ」「カンムリ」「クジラ」「コグマ」「コンパス」「トカゲ」「ハト」、あまり台風のイメージに合わない気がしますが……。

 それはともかく、七月に入り、このコメントを書くのがだんだん追いつかなくなって来ました。歌は毎日作れるんですけどね……。もっと時間が欲しいです!
 しかし、雑用に振り回されても、私は流されたりしませんよ!
 新いろは歌こそ我が人生と心得、これからも作歌執筆、頑張ります!!



平成30年7月3日(火)

        寝 覚 窓 辺


 燃ゆる大空 風渡り

 紅色を 目にすべし

 朝焼け映えん この町で

 胸打つ良き日 ふと笑みぬ


       もゆるおほそら かせわたり
       くれなゐいろを めにすへし
       あさやけはえん このまちて
       むねうつよきひ ふとゑみぬ


 今朝四時半過ぎに目が覚めました。窓ガラスの向こうが紅く見えます。開け放つと、綺麗な朝焼けです! 胸が躍りました。ひんやりとした空気が流れて来て、清々しさに満たされます。一日の始まりとしては、最高の気分だなぁと感じ入りました。今ちょうど、一年のうちで日の出が早い時期なんですね。だから目覚めも良いのでしょう。
 夜明けが早くて爽やかな朝を迎えられると、なんだか時間を得した気持ちになります。俵万智の短歌、

   いつもより一分早く駅に着く一分君のこと考える

 をふと思い出しました(そういえば、もうすぐ七月六日サラダ記念日≠ナす!)。
 たとえ一分一秒でも有効に使うことが出来れば、それは素晴らしいことですね。「朝起きは三文の徳」「時は金なり」「一刻千金」「一寸の光陰軽んずべからず」、時間を重んずる格言・名言は多々あります。その中でも、最近特に心に沁みたのが、マハートマー・ガンジーの次の一言です。

   明日死ぬかのように生きよ。
   永遠に生きるかのように学べ。



平成30年7月2日(月)

        炎 暑 共 鳴


 蝉生まれ出で 声の良さ

 油煮えむ 音するを

 地乾き日映ゆ 灼熱ぞ

 路面へ蛻 猶居たり


       せみうまれいて こゑのよさ
       あふらにえむ おとするを
       ちかわきひはゆ しやくねつそ
       ろめんへもぬけ なほゐたり


 今日、初鳴きの蝉の声を聞きました。通勤途中、公園の木で鳴いていたのです。あぁ、もうそんな時季かと思いました。夏だなぁ〜〜〜!
 まだ梅雨も明けてないのにねぇ。鳴いていたのはアブラゼミです。熱した油がジンジン煮え立つような、あの声です。蝉の命はたった一週間と聞くけれど、まさに今生きていることを歓び、この世に我在りと主張するような、元気いっぱいの鳴き声です! この力強さ、好いですねぇ!
 蝉といえば……。数年前、我が家の庭木の枝に留まっていた、羽化し立ての白い蝉を見たことを思い出します(下の画像)。私は昆虫に詳しくないのでよくは判りませんが、これは翅が透けているからクマゼミでしょうか。ようやく開いた二枚の翅の、緑がかった白い筋をじっと見ていると、生命の神秘と偉大さを感じます。
 灼け付く夏を謳歌し、思い残すことなどこれっぽっちも無いかのように散ってゆく蝉。そんな生き方も素晴らしいなと思います。

  



平成30年7月1日(日)

        舞 洲 散 歩


 広い百合園 大阪の

 海を前に居 花愛でむ

 汗拭ふ我 少し灼け

 熱気燃えたる 地と空よ


       ひろいゆりゑん おほさかの
       うみをまへにゐ はなめてむ
       あせぬくふわれ すこしやけ
       ねつきもえたる ちとそらよ


 大阪舞洲ゆり園へ、家族で行って来ました。JR大阪環状線の西九条駅前から臨時運行の直行バス(舞洲スポーツアイランド行)に乗ると、三○分足らずで到着します。平成二十五年に開園し、一度行ってみたいなと思いながら、ついつい機会を逃していました。シーサイドに、250万輪のゆりが咲き誇る≠ニのことなので、夢のような光景が見られるかと期待していたのですが……。
 今年は花の盛りが十日ぐらい早かったそうで、最終日の今日、ほとんど花が残っていませんでした。広い土手のあちらに数輪、こちらに数輪、百合がちらほら揺れている程度です。チケット売場でもらったパンフレットの案内図には「色彩の丘」「ふれあいの道」「夕焼け色に染まる丘」「幸せの黄色い丘」「恋する桃色の丘」「虹の海岸」「色彩の小道」と、しゃれた地名が見えますが、花がなくては色彩≠ヌころの話じゃないですよ!
 入園料千二百円のところを半額の六百円にしてくれたけど、はっきり言ってこれは無料開放≠ノすべきレベルです! 一面の百合畑が見られるのなら、千二百円でも充分にその値打ちはありますが……。今日のはせいぜい百円程度だなぁ、と思いました。
 でも、楽しかった!
 真っ青な空に、湧き起こる夏雲。緑の草原。爽やかな海風。テントの休憩所で味わった、生ビールとソフトクリーム! ほろ酔い機嫌で雄大な景色に触れ、心底のびのび出来ます。開園以前に自転車で来た時の、数年前の海辺の風景が、懐かしくも眼前に甦りました。
 何よりも子供が喜んでくれたし、遊具のあるキッズパークも気に入ったようでした。
 来年こそ、満開の百合を観に来たいです!

  

  



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